やる気を生み出す力
 自分を変えるためには相当のエネルギーが必要です。どれくらいのエネルギーが必要になるかそのボリュームをはかりたいのなら、自分の志(こころざし)がどのくらいの高みにあるのか知らなければなりません。

 志の高みは、「マズローの欲求階層説」を基準にはかると便利です。
 人は、低次元の欲求を満たすと、一段階上位の欲求を満たしたくなります。欲求の次元は5つあります。例えば、あなたは無一文で外に放り出されたとします。昼間、帰るあてもなく、外をぶらぶらして時間をつぶすことにします。最初に、あなたを襲うのは「空腹」でしょう。
1 生理的欲求
 何事をするにしても、「空腹」を満たさないことにははじまりません。「トイレに行きたい」、「眠い」なども同次元の欲求です。さて、何とか空腹を満たすことはできました。そろそろ陽が沈んできます。次にあなたがしなければならないことは、宿の確保でしょう。

2 安全欲求
 あなたの身を守る安全な場所の確保が、生理的欲求の次にくる欲求です。食べることの心配がない。寝るところも心配はない。さあ一安心です。ところが、あなたは満足しません。それはひとりぼっちだからです。

3 所属と愛の欲求
 誰かに受け入れられたい。どこかの組織に入りたいと思う気持ちが、所属と愛の欲求です。大抵のビジネスマンは、ここまでは欲求を満たしていると思われるかもしれませんが、実は、この域に達していない場合もあるのです。例えば、リストラされかかっている社員は「安全欲求」の段階で悶々としているでしょう。また、お金のためと割り切って、5時まで機械的に働いている社員も「所属と愛の欲求」に達しているとは思われません。
 さて、辞めさせられる心配もなく、職場である程度認められているとしたら、次に欲しくなるのは他人からの「尊敬」です。

4 尊敬の欲求
 あなたの仕事が認められ、みんなから尊敬を集めるようになります。あるいは、だんだん出世して社長までに昇りつめる人もいるかもしれません。この段階で人生を終わる人も多いようです。でも、さらに上位の欲求があります。「地位も金もある。尊敬も集めた。でも、それがどうしたというのだ。俺は何のために生きてきたのだ」

5 自己実現欲求
 この世に自分が生まれてきた意味を問い、誰のためでもない、自分のために、あるいは、社会のために自分を生かそうとする欲求です。最高の欲求です。

 この欲求5段階説は、仕事、人生、恋、友人などいろいろなパターンで使えますから試してみてください。

 さて、あなたは、どの段階にありますか。「所属と愛の欲求」以上にないと、このメルマガを講読してみようという気は起こらないはずです。また、「自己実現欲求」を満たしていれば、すでに当メルマガがめざすものをクリアしていることになりますから、このメルマガを読む必要はありません。あなたは、「尊敬欲求」あるいは「自己実現欲求」のどちらかをめざしている段階にあると思います。

 どちらをめざすにしても、相当のエネルギーが必要なことに変わりありません。
 ところで、「尊敬欲求」と「自己実現欲求」のあいだには、超えなければならない意識改革という高いハードルがあります。それは、周りの環境から影響を受ける受動型から、周りの環境に主体性をもって関わる能動型に意識、行動を変容しなければ、次の段階に移れないというハードルです。

 あなたが、部下を持つようになったとき、この欲求段階説がリーダーシップを発揮する上でとても参考になります。つまり、部下がこの5段階のうち、どのレベルにいるかを判断して、安全欲求以下であれば、甘やかさず業務に関する知識、技術面を徹底的に指導すべきです。メンタル面の指導も欲しいところですが、まず、仕事に関心を持つようになると、大抵の人間は、仕事が面白くなり、給料だけでは満足しなくなり、欲求のレベルに社会性を帯びてくるはずです。

 逆に、はじめから仕事に対して「所属と愛の欲求」以上の段階にある部下であれば、くどくどと仕事に対する心構えなど指導するものなら、かえって逆効果になるはずです。できるだけ部下に裁量権を与え、あなたは部下とインフォーマルな関係を築くことを心がけるべきです。
 以上は、マグレガーの「X理論・Y理論」といわれるものです。
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