質問力
 第1章『コーチングは質問から始まる』


 質問力をつけると、あなたは2つの力をレベルアップすることができます。

 1つは、子育てや職場において力を発揮する「コーチング力」、
 2つめは、初対面においても深い会話ができるようになる「コミュニケーション力」です。

 1つめのコーチング力は、齋藤淳子氏の著書『コーチングのプロが教える質問の技術』をベースに、
 2つめのコミュニケーション力に齋藤孝氏の著書『質問力』をベースにそれぞれ解説することにします。

【1】答えは相手の中にある

 質問には人を育てる質問と育てない質問の2通りがあります。
 相手のための質問をすることが、相手を育てます。
 自分のために質問をすることは、相手を育てません。

 部下が失敗し、あなたは事業がうまく進まない原因を把握して役員に報告しなければならないとしましょう。余裕がないと、どうしても相手から失敗の原因を聞きだそうとする質問になります。

 取引先からの入金が遅れていることが問題になったとしましょう。

「請求書を出したのはいつかい?」
「取引の条件は決めていたの?」
「いつから、回収できていないと気づいたんだ?」

 質問に対して部下は淡々と答えるしかありません。
 これらは上司が自分のために行う質問です。
 自分に関心のあることしか聞いていません。

 同じ質問を自分が受けたときにどんな気持ちになるか考えてみてください。
 相手の立場になって質問をすれば、相手に「気づかせ」、自発的な行動を促すことができます。

「どうしてこんなことになったのだろう?」
「どうすればいいと思う?」
「わかった。私にできることはあるかな」

 質問の仕方で、相手から引き出せる情報はずいぶん違ってきます。

 だからといって優しく語れば何でもいいというわけではありません。
 強面(こわもて)でも、人気のある上司はたくさんいます。

 上司Aは、部下が提案したり意見を出すたびに、こてんぱんに部下をやりこめ、大勢の前でいろいろ質問して、しどろもどろになると「調べてないのか」と一喝して、書類を突き返します。
 そのときのひと言。「もう一度持ってこい!待っているぞ」

 この言葉に「最後まで付き合う」というメッセージが含まれています。
 激しい対応の中にも、部下を思いやる気持ちが感じられれば、部下はついてきます。
 真剣に向き合うことができる上司を持った部下は幸せです。


【2】質問と詰問の違い

 子どもに、
「なんで、あなたは言うことを聞かないの」
「どうして宿題やらないの」

 部下に、
「こんなことで今期の目標達成ができると思っているのか」
「こんなんで相手が納得すると思っているの」

 いずれも詰問です。
 詰問されてとる行動は3つ。
 1聞き流す、2無視する、3言い訳する

 「今に見てろ」とがんばってくれる部下はいまどき多くはありません。
 部下に対して詰問にならないよう気をつけましょう。

 「なぜ?」とは言わないことです。
 「なぜ?」は、反射的に相手に防衛、防護の姿勢をとらせてしまいます。

「なぜ、あなたはいうことを聞かないの」
ではなく、

「何が一番したいの」
「何が得意」
 と聞きましょう。


 質問の形を借りて、相手を決めつけるようなことを言ってはいけません。
「まだやっていないでしょ。どうするつもり」
 このような質問者の意図が含まれた質問は、相手の反発をかうだけです。

「うまくいってないように思うんだけど、いろいろ話を聞かせてよ」
 このように、問題を指摘するのではなく、提案するような言い方の方が抵抗が少ないと思います。
第2章『聞いて育てる』