ビジネスに必要な正義
これからの時代に求められるリーダー像はわかっていただいたと思いますが、
「経営革新」を成し遂げるには、まずは、あなた自身が変革を遂げなければな
らないのかもしれません。

 高度成長期には、会社の成長を一直線にめざせばよかったので、部下の尻をたたき、ひたすら事業に邁進すればよかったのですが、現代のように、大量生産したところでモノは売れないし、消費者の嗜好が多様化し、心変わりも早くなった時代には、なにから手をつけてよいか、時代の流れをどうすればつかむことができるのか悩んでいらっしゃる経営者の方もたくさんいらっしゃると思います。

 これまで日本の高度成長を支えていただいた中小企業経営者の中で、先ほどあげたリーダーの一つの条件である「度量」を備えた方は多いと思います。いわゆる「おやじさん」タイプで、社内でのいろいろなもめ事や人生相談まで応じ、信頼を集めており、給料は少なくても、おやじさんにはついていくといったイメージのある中小企業の経営者いわゆる「おやじさん」達が、大企業の下請けとして日本の成長をささえてきました。そのおやじさんが、次の一手として局面を打開するのに必要なのは、二つ目のリーダーの条件である「よい耳」を持つことです。

 
「よい耳」とは、いろいろ集まってくる情報の中から、事業の方向性を示唆する有益な情報を選び出す能力をさします。リーダー自身がそれを感じ取れる能力がなければ、いくら従業員が思っていても、リーダーが自分のことと真から理解できないため、日の目をみることはないといえるでしょう。

 また、リーダーが「よい耳」と思っていても、顧客がそう思わなければ、単なる独りよがりの「よい耳」で意味がありません。
 リーダーの「よい耳」は、従業員にも、取引先にも、顧客にも、株主にも、社会にも認められてはじめて、リーダーの条件を満たす「よい耳」と同じ意味になるということができます。

 さて、本日の表題である「企業の正義」とは、社会も認める「よい耳」に基づく企業の経営方針をいいます。いくら正義だからといって慈善事業ばかり行っていれば会社は潰れてしまいますから、企業にとっても社会にとっても益になる経営方針を持つことが大事です。

 企業が、自社が行うべき事業として選んだ領域のことを専門用語で「ドメイン」といいます。この「ドメイン」を設定次第では、会社を誤ってつぶすことにもなりかねないし、あるいは、の起死回生の一打となるかもしれない、ドメインとはそれほど、重要な意味を持っています。

 企業が正しい「ドメイン」を持ち、リーダーが「よい耳」を持って、一体となって機能すれば、その企業の成長は安泰とみてよいでしょう。

書籍案内
企業ドメインの戦略論―構想...中公新書

目次

序章 ドメインの定義(企業の構想の大きさ
組織体のドメイン
事業領域と戦略領域と
日本における重要性)
第1章 ドメインの構成次元(ドメインの物理的定義と機能的定義
アメリカの鉄道会社の失敗
ドメインの変化
ドメイン・コンセンサス
ドメインのおもな構成次元)
2章 アメリカ企業の事例(事業領域の急激な変化
IBM―全方位成長戦略とその修正
ゼロックスのOA戦略)
味の広がりへ向けて)




第3章 日本企業の事例(企業の自然な成長
自然成長的な事業展開の限界
「構想主導型」経営の事例)
第4章 企業と社会の相互作用(製品の意味領域
相互作用的意味創造
オーバーシューティング〈飛びすぎ〉
意味の余剰と引き込み
停泊とスキーマの提供)
第5章 企業組織とシンクロニゼーション(理想の組織のイメージ
企業におけるシンクロニゼーション
新たな意

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