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事実と意見を峻別する

 相手をだますときの手っ取り早い方法が「意見」を「事実」のように話すやり方である。


「ビタミンCが豊富に含まれてお肌にとてもよい」
「豊富とはどのくらいですか?意見や感想ではなく根拠を示して話してください」


「お肌のシミを取る最良の方法です」
「最良とは何と比べてですか。比較できる化粧法とデータをすべて示してください」


「小泉首相は偉大な総理大臣だ」
「偉大と思うのはあなたの意見で、私の意見ではない」


 ディベートでは、証拠や論拠を示して事実を証明しなければならない。意見を事実のように展開していくと、どんな結論でも導き出すことができるからだ。

 意見を事実のように操作すれば、オウム真理教のように有名大学の医大生さえ騙して信者に取り込むことができる。意見と事実の峻別はディベートでは必須の条件であるが、実生活でもトレーニングにより能力を高めたほうがよいと言えそうだ。
 



「もしクレオパトラの鼻が1cm低かったら、歴史は変わっていただろう」
パスカルが言った有名な格言である。

 このあと、格言は
「人間のむなしさを知ろうとするなら、恋愛の原因と結果とをよく眺めるがよい。」と続くのだが、こういう言い回しは、ディベートの世界では「仮定の話」として御法度とされる。「もし、・・・」と言われたら、「仮定の話には答えられない」とすぐに跳ね返さなければならない。仮定の話を始めたらきりがないからである。

 起きもしない現実のことを言われてもらちは開かない。永遠と不毛の議論を続けることになるだろう。事実を根底に進めるディベートとは相容れない世界だ。

「もし、あなたの足があと5cm長ければ・・・」
「若い頃はそんなこと言う君ではなかった」

というぐらい不毛の議論なのである。

 ところが、ビジネスは、何でもありの世界だ。仮定の話を強引に進め、契約を有利な条件で獲得しようとする輩もいる。これらのたぐいから持ちかけられたら、きっぱりと「仮定の話には答えられない」と答えることができるように心がけておくべきだ。


 8月になると原爆や終戦の話題で盛り上がる。韓国が日本を批判するときに、

「もし、原爆が1ヶ月早く広島に投下され、日本が早々と降伏していたら、南北はソビエトに分断されずにすんだ。」という話をよくする。これなどは先ほど紹介した「仮定の話」の典型である。もともと不毛の議論であるのに、日本人は妙に納得し恐縮してしまう。このような言われ方されたら、突っぱねるか、次のように切り返す。

「もし、日本がアメリカを破っていたら、君たちの国はどうなっていたと思う?」

 韓国の人がこれに答えられなかったら、ろくに歴史も勉強せず日本を批判していることになる。




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目次

第一章 社会背景編 反論が求められる時代の幕開け
第二章 基本編 うまく反論するためのルール
第三章 論理編 反論のための話の構造を知る
第四章 禁止編 卑怯な詭弁には、こうして反論しよう
第五章 ケーススタディ編 こんなとき、こんな反論がよい
第六章 反論技法をマスターするトレーニング

反論は窮地に陥ったあなたを救う手段である
反論はマイナスからのスタートである。ここが重要である。たとえば、質問はそれをしなくてもマイナスになることはない。だが、反論は何もしないとあなたの議論はだめな議論と推定されてしまう。反論は質問よりもあなたの人生を大きく左右するのである。反論はすでに窮地に陥っている人のためのものである。

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 2004.5.19

○配信頂いてからまだ間もないのですが大変参考になるノウハウが 疑縮されておりいつも楽しみにさせていただいております。
 2004.6.2
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