部下の育て方

 あなたの部下の中に「どうしようもない奴」はいませんか。仕事を頼んでもいつまでたってもできない、期限までにできない、報告にも来ない、あるいはそればかりを抱え込み他の仕事に手をつけない、相談に来ない、進捗状況がわからない、同僚や女性職員と痴話話ばかり咲かせて一向に仕事が進まない・・・思い出すのも腹が立つ方もいらっしゃるかもしれません。

 前回私は人間は皆、心の中に自己実現の欲求があって仕事においても自己実現を達成したいと思っているのだと解説しました。これらの「どうしようもない奴」は自己実現とはほど遠い低次元の世界で生きている者たちとあきらめるしかないのでしょうか。

 ただ、「どうしようもない奴」をよく観察してください。中には本当にどうしようもない奴がいるかもしれません。今時、少々の才能があってもリストラされる時代です。本当にどうしようもない奴はさっさと切り捨て、才能があるのに失業している多くの人を一人でも救ってあげるべきです。そうは言ってもいろいろ事情があって簡単には首切りできない場合もあるでしょう。あるいは、あなたが見てろくでもないかもしれないが、他の人が見るとそうでもない奴であったりもするわけです。あなたのリーダーシップの発揮次第で、ろくでもないと思われていた部下が才能を咲かせ光り輝くことだってあるのです。

 自営業ならともかく、サラリーマンや従業員の場合は自分が真にやりたいと思っている仕事に就いているようなラッキーな人はほんの一握りしかいません。ほとんどの人は就職したものの思い描いていた理想の仕事とずいぶん違っていたり、配置転換で意に添わない部署で働かなければならなくなったり、あるいは会社の方針で思うような仕事をさせてもらえないなど、いろいろな事情の中で自分を納得させながら仕事を続けている場合が多いと思います。例えば配置転換させられ自分が希望していない部署に回されたとき、その部署での仕事ぶりが、あまりにばからしく見えて、前に居た部署では同僚も上司も優秀だったのにこの部署には優秀な人間はいないのか、吹きだまりなのか、自分はそういう奴らと一緒にされたのかなどと落ち込んだりした記憶のある方もいらっしゃると思います。今、あなたの部下はそういう状態なのかもしれませんね。はじめは不本意でも仕事の内容がわかってくるとだんだん興味が湧いてきて、そのうち自分の仕事に対する責任感も生まれてきます。部下はちょうどその過渡期にあるのかもしれません。もしそうであれば、リーダーとしては良好な人間関係を築こうとする前に徹底的に業務知識、部署の置かれた環境などを徹底的に教え込むことです。それをやらずに先に「一杯飲みに行こうか」、「何か悩みがあるの」など、べたべたするとかえってあなたから心が離れることになります。

 人間関係を大事にしなければならないのは、業務知識を十分獲得し、自分なりの仕事のやり方を確立し、それが一定の成果を上げてきたときです。自分なりに工夫を加えいろいろやっているのに、「おれは昔、こうやって処理した」などと今では通用しなくなった古いやり方を押しつけたり、分かり切った知識を植え付けようとすると今度は相手のプライドを傷つけることにもなりかねません。このように部下の習熟度に合わせてリーダーシップのスタイルを変えていく方法は、PM理論またはSL理論として経営学の本などで紹介されています。
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