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8月30日〜9月3日(毎日スキルアップ通信で紹介)

  北岡俊明著(PHP研究所1,200円)


 ディベートは単なる議論・討論ではない。誇りと尊厳をかけて精神力を持続しながら闘う「知の戦争」である。対中国、韓国における教科書問題、歴史問題などにおいては、日本の政治家や官僚はこのディベート力が欠如しているため耐え難い屈辱を味わい続けている。

 証明する必要がないときは、弁明する必要もない。言いがかりに対して弁明する必要がなければ「ノー」、「答える義務はない」と突っぱねればよい。前提が間違えていることに対してあーだこーだと言い訳していれば水掛け論になり根負けしてみっともないことになる。「だまれ」と突っぱねる勇気と度胸があればよい。

 ディベートは全知全能をふりしぼる「知の総力戦」である。
 「ディベート」の歴史は古い。2000年前、ギリシア時代にソクラテス、プラトン、アリストテレスは、詭弁家(ソフィスト)と戦い哲学と論理学を確立した。日本の政治は、ワイドショー政治・衆愚政治と言われるように、ギリシア時代のソフィストのレベルにさえ達していない。これらの次元の低いお茶の間政治家、あるいは詭弁を使うアジアの外交官たちから日本を守るために正統なディベートの力が求められている。


 石原慎太郎氏は日本屈指のディベーターである。石原氏の発言は説得力があり、他者につけ込む隙を与えない。その理由は次のとおりである。

1 事実を述べること
2 ボキャブラリーが豊富なこと
3 論理的であること
4 揺るぎない思想と信念に基づいていること
5 対立、摩擦を恐れず真っ正面から当たること

どれもディベートに必要なスキルと心構えである。

 日本、特にマスコミは、ディベート精神や論理的思考力が欠けている。情緒的な一般大衆の感情論が幅をきかせすぎる。ワイドショーによる「田中真紀子騒動」などがその例である。

 ディベーターは、全肯定、全否定ができなければならない。へたに知識があり、頭が回転の速いからといって、議論を右に左に変えて、ゲームのように楽しむのでは、態度があいまいととられてしまう。また、思わぬ反駁にあい、意見を簡単に変えたり、策に溺れて自滅したりする。石原氏のように揺るぎない深淵に基づいた全肯定・全否定ができるようにならなければならない。


 感情のこもらない論理はお役人論理である。
 感情的になることは悪いことではない。一流のリーダーは怒ることができる。石原慎太郎、星野仙一、浅利慶太、トルシエなどは正義の怒りと愛する者への叱りを表すことができるリーダーだ。

 ディベーターは「正義」と「論理」のために闘う人間である。ディベートは切れば血が出る真剣勝負と認識すべきである。

 ディベートの3条件は、

 右手に独創性、
 左手に論理、
 心に情熱をおくことである。

 日本には代表的な2つのディベートの場がある。

 一つは、裁判所、もう一つは、議会である。議会においては残念ながら日本の場合、お世辞にもディベートとは言えず、もどきといった方が現実を表している。ディベートは言葉を大事にしなければならない。ディベートの学習をしたことがない者同士が対峙した討論会を聴いてみるといい。おそらく、各県ほとんどの討論が、いかにカタチだけの討論会なのか、知ることになるだろう。

 日本人はコトバの生産性が低い。コトバの生産性とは、

 スピード、
 パワー、
 クオリティである。

 日本語そのものにスピード感がないのは否めないが、スピード感を大事にして、歯切れ良く、声も大きく、明瞭明晰に話すように心がけたい。

 また、コトバを発信する人の迫力や魅力は、同じことを言っても人それぞれに違う。日頃から心身の鍛練がものをいいそうだ。クオリティは、質の良い言語表現のことをいう。読書や朗読で日頃から表現力を養う必要がある。




 ディベートの技術で何よりも大切にしなければならないのは、「コトバの定義」である。お互いが同じコトバを好き勝手に違う意味で使っていたら論争は成り立たない。また、相手がどうであれ、少なくとも自分自身でコトバの定義はしっかり持っていなければならない。そうしないと、詭弁家や強弁家にかかると、赤子の手をひねるように、あなたの論点はぐらぐらに骨抜きにされ、破綻に追い込まれてしまうだろう。日本は島国なので、ムラ社会の気軽さから、どのような矛盾もおおらかに吸収され、許されてきた。しかし、社会はグローバル化が進んでおり、ムラの気安さはこれからは通用しない。


 ディベートの世界においては、肯定とも否定ともとれる「あいまいな
コトバ」は厳禁である。だからこそ言葉の定義は必要であり、定義をし
ないまま論理を展開すると、言葉の意味が、ぶれたりするため、自滅す
る可能性が高くなるそうだ。

 スピード感のない話し方をする者がいるが、相手に嫌われるだけだ。
ディベート教育が最も大事にするのはスピードである。情報を集積する
スピード、分析するスピード、論理構築のスピードがディベーターに求
められる。

 そして、ディベートは言い切ることが大事である。これは日頃の心が
けで身につけたい。明日から言い切るように意識的に言葉をつかうよう
にしてほしい。


「ディベート力」の鍛え方―詭弁を見破り、論破する技術
価格: ¥1,260 (税込)

目次

第1章 石原慎太郎に学ぶ最強のディベート術 
第2章 ディベートもどき辻元清美の敗因に学ぶ 
第3章 詭弁ディベーター田中眞紀子の研究 
第4章 総理大臣のクエスチョンタイム・ディベート 
第5章 テロ事件にみる知識人のディベート作法 
第6章 中国人の詭弁ディベート 
第7章 史上空前の東京裁判ディベート 
第8章 こうすれば勝てるディベートのノウハウ



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