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「話が面白い人のちょっとした習慣術」 1,300円

       高島秀武  青春出版社 2004年8月15日発刊
  高島秀武と聞いて「オールナイトニッポン」を思い浮かべる人がいらっしゃるかもしれない。ニッポン放送でラジオの司会だけでなく、ニュース、芸能、野球中継とアナウンサーとして活躍し、フリーとなった現在においても、ラジオのパーソナリティから、講演、セミナーと忙しい毎日を送られている。「笑顔満開!ひでたけ・のりこの大吉ラジオ」は19年の長寿番組となた。これまでのラジオ人生で著者は約1万人のゲストと対話してきたという。1万人との対話を通して、得られたコミュニケーションスキルが当著で惜しみなく披露されている。今まで対話してきたゲストたちで印象に残る人は、やはり話が弾んだ人で、彼らから学び、また、高島氏もいろいろ実践することで会話術を向上させてきた。

 高島氏はオールナイトニッポンの大御所に当たるが、その後、いろいろな無名の新人がオールナイトニッポンでおしゃべりをしているのを聞いているが、タクシーで聞いていたら、面白くて思わずタクシーを止めて電話ボックスから社に今誰がしゃべっているのか確認した新人が「タモリ」であった。同じく、「ビートたけし」も強烈な印象を受けたということだ。

 伝え方をちょっと工夫するだけで、変哲もない街の情景を、面白く変えることができる。年末ジャンボ宝くじの売り出しが始まった頃、筆者は世田谷にある等々力(とどろき)という小さな駅で待ち合わせをしていた。その時目に入ったのが、みずほ銀行の無人ATMの場所を借りて、年配の女子行員が机を持ち込んで宝くじを売っている姿だった。このとき、筆者が感じたことが、話題として蓄積されるのだが、この宝くじを売る女性を見てどれだけのことを感じるかが、実は会話術に長けるかそうでないかの分かれ道なのだ。「等々力駅に宝くじ売り場があったよ」では普通の会話。「銀行員がこんな小さな場所で自ら宝くじを売りさばいているの」とくれば、想像が広がる。みずほ銀行は、日本勧業銀行、富士銀行、第一勧業銀行が一つに合併してできた銀行である。3つの銀行の中で一番格が上の銀行は日本勧業銀行。とすると、宝くじを扱ってきた元第一勧業行員は、日本勧業銀行行員よりも格が下ということになるのだろうか。それにしても、いくら第一勧業銀行が宝くじを扱ってきたからといって、優秀な成績で入ったであろう銀行員を、寒風吹きすさぶ年末の街頭で宝くじを売らせるとは・・・と、話題は広がる。話を面白くするためには、目のつけどころを変えて、いろいろ想像してみる心がけが必要なようだ。


 アナウンサーはカメラ視点を持てと言われている。カメラ視点で全体を言い表したり、部分を描写したり、話の視点をカメラ視点のように変えると、話に深みが出る。

(話が平坦な例)

「先週、京都に行った。桜がきれいだった。哲学の道もきれいだった。残念なのは、円山公園のしだれ桜が三分咲きだったこと。夜は祇園にある旅館に泊まり、舞妓さんが歩いているのを見ることができた」

(話に深みがでる例)

「先週、京都に行った。清水寺の舞台から見ると、桜がピンク色の絨毯(じゅうたん)を広げたように見えて、幻想的だった。茶店の近くでは山桜が咲いていて、花の間から若葉が見えて可憐な感じがした。圧倒されるソメイヨシノのピンクの絨毯の中で、山桜が可憐に見えたよ」


 大きな数字を言うときは、必ず他のものに置き換える。
「一昨年は夏が暑かったので、ビールの消費量がうなぎ登り、693万キロリットル、東京ドーム5,6杯分のビールを飲んだことになります」


 言霊(ことだま)といわれるように、言葉には力がある。小泉首相の「聖域なき構造改革」は、今は、効力を失った感があるが、就任当時は言葉自体に人の心を打つインパクトがあった。アメリカの大統領選は、ディベートでの対決が選挙の結果に大きく影響する。このため、大統領候補には、スピーチライターだけでなく、限られた時間内に有権者を感動させるフレーズを考えるコピーライターまでつくという。話を面白くするため、言霊のようなキャッチフレーズは大切だ。

 話す力は営業マンだけが磨けばいいというものではない。今は、総務畑であろうが研究職であろうが、すべてのビジネスパーソンに営業のセンスが求められている。ノーベル賞を受賞した田中耕一さんでさえ売り込み先の企業で営業をしていた。田中さんは、たぶん知識にものをいわせて営業するというより、その人柄で売上に貢献していたはずだ。営業は、製品に対する知識より、雑談のうまさの方がものをいう。そのためには、銀座の高級ホステスが日課としているように毎日のニュースや世の中の動きに敏感であることが必須の条件とされる。ニュースだけでなく雑学も仕入れていた方がいい。それらを博学として誇ることなく、さらりと出す工夫も必要だ。一つの話題から、うまく、尾ひれをつけながら、雑学から雑学につなげてて、間を持たせる技術も、営業の場において必要なスキルである。


 ラジオは、テレビのように映像の力を借りることができない。すべてアナウンサーの話力にかかっている。テレビや新聞は、たくさんのマンパワーでニュースを取材することで成り立っている。ところがラジオは、ファックスなどで送られてきた一次情報を、アナウンサーの力量でわかりやすくまとめて、言葉だけで聴視者に伝えなければならない。聴視者にわかりやすいだけでなく、インパクトのある伝え方をしないと、聴いてくれないので、ラジオのアナウンサーはできるだけ一般の人が感じるような疑問点を、もれなく自分でも感じるように心がけ、それを聴視者を代表して解きほぐすことで、話題や思考を広げ、聴視者の興味をひっぱていく技量が求められる。つまり、問題を発見する力と、それを解きながら、わかりやすく聴視者に伝えていくことが、ラジオのアナウンサーに使命なのである。

 面白いネタを探そうと身構えていても、なにも見つけることはできない。自然体でいい。雑煮一つとっても、関西、関東の雑煮は違う。さらに九州と京都でも全然違う。人が集まれば、テーマごとに、話は面白いように広がっていく。いろいろなテーマで、ものが言えるように、普段からアンテナを張り、興味を覚えたことはメモをするなど、情報を集めるようにすれば、自然に話ネタは増えていく。

 おしゃべり上手になろうとするなら、おしゃべりの推敲が必要だ。しゃべりっぱなしでなく、自己検証して、笑わせるタイミングを測るなど、話し方に磨きをかけてなければならない。

 話し手は活字の情報だけで満足してはいけない。現場を大事にする。実際に現地に行って、体験して、それを表現するように努めなければならない。現地で味わった生の情報を、自分の知識と感性で上手に加工し話すことができる「感覚スペシャリスト」をめざしてほしい。



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話が面白い人のちょっとした習慣術―成功をもたらす実践コミュニケーション

高嶋 秀武 (著)

価格: ¥1,365 (税込)


目次

1章 「相手を聞く気にさせる会話」の共通点(「その場にいる人しか知らない情景」を話す
面白く伝わるか、伝わらないかの小さな違い ほか)
2章 話し上手なのに嫌われる人話し下手なのに好かれる人(目の前の相手より相手の後ろに何人いるかに注意
とっつきにくい人ほど親しげに話せ ほか)
3章 言葉ひとつで話は数倍面白くなる(旬の言葉を使ったたとえで、説明はぐっとわかりやすくなる
説得力が増す「数字の置き換え」の魔術 ほか)
4章 「話題があふれる毎日」に変わるラジオパーソナリティの小さな習慣(話がかみあわないときに使える「ラジオ的アプローチ」
面白いネタが見つかる「話のアンテナ」の張り方 ほか)
特別付録 ステップアップ練習問題(「自分のキャッチフレーズ」を作ろう
「自分の人間関係地図」を作ろう ほか)

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