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ハイ・コンセプト(「新しいこと」を考え出す人の時代)
ダニエルピンク著・大前研一訳
三笠書房(2006.5.30) 1,900円
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著者のダニエルピンクは、クリントン政権下で労働長官の補佐官兼スピーチライターとして勤務。その後ゴア副大統領の首席スピーチライターを勤めた後、フリーエージェント宣言。現在は、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙などの有力紙の執筆で活躍している。
本書は、情報化社会(第三の波)の後に来るといわれている「新しい大きなうねり(第四の波)」における生き方を示す書として大きな話題を呼び、米国で発売と同時に、ビジネス部門で第1位を記録したベストセラー。
大前氏がこの本の訳を引き受けた理由は、まさに大前氏が提唱する「長期衰退の中で進む所得階層の二極化」に呑み込まれないための啓発本として認めたからである。
大前氏はこの本の題名を「第四の波」としたかったらしい。
そこで、大前氏が経営する会社の株主でもあり、友人でもある「第三の波」の著者アルビン・トフラーに電話して、題名の許可をもらおうとしたが、うまく折り合いが付かず、大前氏は日本語題を「ハイ・コンセプト」とした。
しかし、これは第四の波であると、大前氏は今も信じている。
「第一の波」・・・農耕社会
「第二の波」・・・産業社会
「第三の波」・・・情報化社会
ここまでが、トフラーが説いた時代の流れである。
そして、次に来るのが、
「第四の波」・・・コンセプチュアル社会
コンセプチュアルとは、複雑な問題に対する問題解決力や論理性・創造性といった知的ポテンシャルをいう。
わかりやすくいえば、情報化社会だからといって、ITや情報に強いくらいでは生き残れない時代になったということである。
経済のグローバル化で、誰でもできる労働は、当然賃金の安い東アジアで生産される。
ITは、インドでできる。
日本でやるなら月給5万円でないと引き合わないそうだ。
反対に、すごいトレーディング能力を持っているとか、イノベーション、クリエイティブなどの能力に秀でていれば、いくらでも高額の給料をもらえることができる。
つまり、二極分化が進み、日本は「M型社会」になりつつあり、これからは、知的労働者といえども安心できない社会なのである。
日本の強みと思われた「第三の波(情報化社会)」はインドに持っていかれた。
インドでは、得意のコンピュータプログラミングだけでなく、外科手術なども高い成功率でしかも格安でやってのけるほど成熟した知識社会である。
日本は、これから何をして食っていけばいいのか。
その答が本書にはある。
そのことが、本書の翻訳を大前氏が引き受けた理由でもある。
21世紀は格差社会だ。そのなかで生き残る方法を本書では説いている。
これまでのように学校でよい成績をとったところで、今の義務教育で教える内容と量は、せいぜいメモリチップ100円ぐらいに収まる程度の価値しかない。
知識だけでは、誰も振り向かない。
Googleで調べれば一発でわかる。
21世紀に必要なのは知識人ではない。
みんなの意見を聞き回って、それを消化して、新しい知見を導き出せる人が必要なのだ。
理屈だけではだめだ。これからは右脳でアイデアを出す力が必要になってくる。
本当にすごい人は、右脳からアイデアを出し、左脳でそれを評価する。
日本人は左脳型が多い。
本書には右脳を磨く「六つの感性」が載っている。
21世紀は「答のない社会」だ。
その中で生きぬいていく能力が求められる。
脳の使い方そのものから変えていかなければならない。
従来とはまったく異なった自己開発が必要だ。
21世紀は、著者のダニエルピンクに言わせると「コンセプトの時代」ということになる。
すなわち、優れた個人のもとで企業が栄える時代だ。
当書は、大前研一氏に言わせると、中国にやられ、インドにやられ、この先どうやって生き残っていくのか考えなければいけない日本人に最も必要な本ということになる。
これからは「専門力」ではなく「総合力」の時代だ。
未来をリードするのは、創造できる人、他人と共感できる人、パターン認識の優れた人、物事に意義を見いだせる人である。
「情報化社会」はコンピュータのようなロジカル能力によって築かれた。
「情報化社会」の次は、創意や共感などによって築かれる「コンセプトの時代」がやってくる。
本の題名である「ハイ・コンセプト」とは、
・パターンやチャンスを見いだす力、
・芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、
・人を納得させる能力、
・一見ばらばらな概念を組み合わせ新しいものを生み出す能力だ。
これからは左脳だけでなく、右脳的な特質が重要な要素となってくる。
これからは、多感で豊かな想像力を持つ人々が先頭に立つ時代だ。
仕事で成功を収めたいと思う人はより一層の想像力を磨くべきだ。
そのためには6つのセンスを身につけてほしい。
【6つのセンス】
デザイン
物語、、
調和、
共感、
遊び
生きがい
カリフォルニア州立大で芸術を教えるベティ・エドワーズは次のように言っている。
「絵を描くということは、実はそれほど難しいことではない。筆を動かすというより重要なことは『見る』ことだ。 つまり、理屈をこねまわしながら見ようとする「左脳」をひっこめ、物静かに柔らかな「右脳」で見ることができるようになれば、誰でも絵が描けるようになる」
これまでは、「左脳」が主役で「右脳」は軽視される傾向にあった。
これからは、「左脳」と同様、「右脳」も主役となる時代だ。
「コンセプトの時代」には、「6つの感性(センス)」が活躍する。
1 機能だけではなく「デザイン」が、商品の価値を高める重要な要素
となっている。
2 議論よりは「物語」が人々を動かすことができる。
3 個別よりは「全体の調和」が求められる時代だ。すなわち、何かに
焦点をしぼって特化することでなく、バラバラなものをひとまとめ
にする能力である。
4 論理でなく「共感」が、人を動かし、人間関係を築く。他人を思い
やる能力が求められる。
5 まじめだけでなく「遊び心」、すなわち、笑い、快活さ、娯楽、
ユーモアが仕事にも人生にも必要となってくる。
6 モノよりも「生きがい」こそが物質世界での苦しみから解放して
くれる
☆デザイン
デザイン感覚を身につけるために、小さめのノートを用意して、常に持ち歩くようにしよう。よいデザインに出会ったらそれを書き留めるようにする。
また、デザイン専門誌をぱらぱらめくるだけでも、結構、感覚は磨かれるものだ。
そして、「モノ」だけでなく、経験することにお金をつかうようにする。
自分の人生のなかで、心に残っているもの、お気に入りのものを眺めたり、思いだしたりして、それが自分の五感にどのように働きかけているのか、じっくり考えてみるのも、感性を磨く演習になる。
☆「議論」よりは「物語」
商品のラベルに品質が如何によいか書き立てているものより、ちょっと気の利いた商品開発に関わる物語を載せていた方が、消費者の心をつかむものである。
この、物語力をつけるためには、ミニミニ短編小説を書く練習をするとよい。
使える単語数は50ぐらい。その50の中に創造力を注ぎ込むようにしよう。
自分史を書くのも物語力のトレーニングに役立つ。
また、質のいい短編小説をたくさん読むのも物語的資質を育てるのに役立つ。
☆「個別」よりは「全体の調和」
かっての知識労働者が携わっていた定型的な分析業務は、オートメーション化され、コンピュータで代用されるようになった。
これから必要なのは、パターン認識や、隠れた関連性を見つけ出す能力である。
日々の生活における「調和力」の重要性が一層増してくる。
「調和力」を磨くためには交響曲を聴くとよい。
書店の雑誌コーナーに行って、これまでも読んだことがなく、今後も買わないだろうと思う雑誌を10冊買ってくる。それを丹念に読むと、頭の中でいろいろなものが自分の得意分野と結びつき、いろいろな気づきを得ることできる。
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ハイ・コンセプト(「新しいこと」を考え出す人の時代)
ダニエルピンク著・大前研一訳
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