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ある夏の日、1人の男子高校生が1人の女の子と出会う。
「僕」は、どこに出もいる17歳の高校生。
なりたい職業はまだ決めていない。
将来のことを決めるのは大学に進学してからでも遅くないと思っている。
高校生最後の夏休みだけど、勉強する気になれない。
だからといって外で青春を謳歌する気持ちにもなれない。
夏休みにすることといったら、父親が経営する町の小さな書店の留守番ぐらいだ。少なくとも彼女と出会うまでは・・・
『君と会えたから・・・』は装丁も書き出しも恋愛小説である。
書店において、ビジネス書のコーナーよりも小説コーナーに並べられそうな本である。
若い世代に読まれることを望んで、そういう仕上がりになったのであろう。
美しくはかない初恋物語ではあるが、読み終わった後は、ずしりと心に重石をつけられたような感覚が残る
これは、真摯に生きることの意味を問う自己啓発書であるからだ。
もちろん、そうでなければ「毎スキ」で取り上げない。
主人公の「僕」は、いつものように父の書店で店番をしていた。
そこに少女ハルカが現れる。
突然目の前に現れた美しい女の子、
探していた本が見つからずまた1週間後にまた来るからと言って注文して帰る。
さっそく本を取り寄せ、「僕」はハルカより先にその本を読む。
その本には次のような言葉が繰り返されて使われていた。
「決して冷めない狂おしいほどの
情熱を持って行動を繰り返せ」
少女ハルカが注文した本を先に読んだ主人公の「僕」は、その中に書かれていることがまるで自分に対して書かれているのではないかと感じるくらいに感動し、興奮する。
その本には次のように書かれていた。
「未来のことを考えるときに、どうせうまくいかないと考え、夢に向けての行動をとらない人がいる。しかし、それは間違っている。私たちの夢は、絶対に手に入れると狂おしいほどに信じて、それに向けて情熱を燃やし、行動を繰り返す限り、どんなに大きな夢でも必ず達成できる」
ハルカと初デートの場所は市立図書館。
2人には同じ本を読んだことで共通の話題がある。
ハルカと「僕」は図書館の片隅でゲームを始めた。
「自分が行ってみたいこと、達成したいこと」を先に60個、メモ用紙に書き上げた方が勝ちという単純なルールだ。
勝負は予想に反して「僕」の勝ち。
ハルカは、「僕」が今書いた"将来の夢"は必ず実現できるという。
「僕」はできるはずないと答えると、ハルカは少し怒って、本に書いてあったことを「僕」に思い出させてくれた。
「決して冷めない狂おしいほどの
情熱を持って行動を繰り返せ」
ハルカが「僕」とのゲームに負けたのは訳がある。
ハルカは、「やりたいこと、なりたいこと」はすでに紙に書きつづったことがあったので、第2段階の「やってあげたいこと」のリスト化に挑戦していたのである。
「僕」はハルカに聞く。
「やってあげたいこと?」
「そう、ほかの人のためにやってあげたいこと」
ハルカの説明によると、「自分がやりたいこと、なりたいこと」を紙に書いて、壁に貼りだしてみたものの失敗している人はたくさんいるそうだ。
なぜなら、「自分がやりたこと、ないたいこと」は、結果として手に入れるものであったり、手段であったりするからだ。目標にするにはピントが合っていない場合が多い。だから行動に移しづらいのだ。
自分ではなく相手のために何かしてあげたいと宣言すると、今度は具体性を帯びてくる。それが好きな人のためであったり、社会正義のためであれば、俄然張り合いもでてくるというものだ。
つまり、二枚目のリスト「やってあげたいこと」をつくると、より現実味を帯びてくるのだそうだ。
だから、次の作業として、初めにつくった一枚目のリストを二枚目のリストに変換していく。
【例】
一枚目のリスト ⇒ 二枚目のリスト
英語を話せるようになりたい 両親を米国旅行に連れて行きたい。
簿記を習いたい 起業した夫の経理を助けたい
料理が上手になりたい 美味しいものを食べさせたい
長生きしたい 社会に貢献したい
人にしてあげたいことを二枚目のリストに書いたら、それを毎日ながめるようにする。
リストの中で、今日できることは、今日する。
ひたすら努力して、成功をものにしようと意気込むとうまくいかない。
なぜなら、自分ひとりの力でねじ伏せようと考えてしまうからだ。
努力よりも素直が一番。
ハルカの言葉
「これから成功を収めようと思って頑張ろうとする人は『努力に勝る天才はなし』
といって自分を勇気づけようとするみたいだけど、実際に成功を手に入れた人とか、指導的立場の人は『努力』でなく『素直に勝る天才は亡し』というほうがしっくりくるみたいよ」
成功した人は、その成功を手にするために多くの人の助けがあったことを知っている人だ。
ハルカはハンバーガーショップでジュースを受け取るとき、店員さんに大きな声で「ありがとうございます」とていねいにお辞儀したので、「僕」はお金払って買うのにどうして深々とお辞儀するのと尋ねた。
ハルカは、チーズバーガー180円と書いた絵札を指さし、
「『円』の本当の読み方知ってる?」と「僕」に尋ねた。
答えられないでいると、ハルカは「僕」に対し、『円』は『ありがとう』の意味だと説明する。
180円のチーズバーガーをもし自分で一から作らないといけないとした大変なことになる。
牛を育てないといけないし、
パンを作るために小麦を育てないといけないし、
タマネギも、レタスも、
油も、チーズも、
そして、塩やコショウは、もっと手間がかかる・・・
そんな大変な作業をしてくれた人たちを代表して目の前にいるハンバーガーショップの店員さんに、180の『ありがとう』を言うのだそうだ。
ほしいものを手に入れるためにお金を払っているわけではない。
それに携わった人たちに、「ありがとう」を届けているのだ。
『僕』はお金の価値がわかったような気がした。
「つまり、お金を儲けるということは、「ありがとう」を集めるということなんだ!」
「時給800円のバイトをしている人が1000万円稼ぐためには、どれくらい働かなければならないか」
と、質問されたら、誰だって、1,000万円/800円の計算式が浮かぶであろう。
次に「一時間に800ありがとうをもらっている人が、1000万ありがとうをいってもらうためには」
と、質問されたら、今度は紙と鉛筆を出して計算しようという気は起きないだろう。
最初の質問は、労働者が得る賃金の計算だ。
2番目の質問は、経営の質を変えようとする思考だ。
若い頃から「時給○○円」という考え方が染みつくと、そこから抜けきれなくなる。
ハルカは父に教えてもらったことを「僕」に話す・・・
ハルカと「僕」の、恋は長くは続かない。
「僕」にとっては、衝撃的な出会いであったが、ハルカは、偶然を装いながら、ある使命をもって「僕」に近づいたのだ。
涙と感動のクライマックスが待っている。
内容は、成功哲学である。
でも、形は最後まで恋愛小説である。
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