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学校の成績と仕事人になってからの成績はあまり関係ない。
これは、社会人になると誰もが思い当たることだ。
いくら学校の成績がよくても、社会に出ればもう一度、成績のできなかった子と一緒に同じスタートラインに並んで、もう一回、よーいドンをしなければならない。
なぜなら、社会に出れば学校で教えないことを新たに学ばないといけないからだ。
社会に出てからの成績は、学校の成績の善し悪しとは関係しない。
この本は、まさに学校で教えない「気の利かせ方」をテーマにした本である。
といって、いわゆる「処世術」のようなものを教える本ではない。
ビジネス社会において人の上に立つ人には「気のきく人」が多い。
社会に出れば、「気の利かせ方」が成功を収めるためにもっとも必要なスキルなのである。これは学校の頭の良さとは次元が異なる。まわりの状況がいつもよく見えて、直ちに適切な処理を行うことができる「地頭力」が求められるのだ。
気がきく人は、まわりの状況がよく読める人だ。
気がきく人は、変化に対して直ちに適切な処置がとれる。
人間関係もそつがなく、上司、部下、同僚からも信頼を得ている。
そういう人が、人の上に立つ。
著者の山形琢也氏は、経営コンサルタントであるとともに、講師として全国を飛び回っており、その情熱的な講演には定評がある。
山形氏は、40年のコンサルタント業を通して様々な人を見てきた。
そして、一つの結論に達した。
会社員は3つのグループに分けられるということだ。
一つは、「会社を背負って立つ人」
一つは、「泣かず飛ばすで終わってしまう人」
一つは、「会社のお荷物になり辞めさせないとお荷物になる人」
そして、誰もが努力次第で一番目の「会社を背負って立つ人」になれるそうだ。
この本は、仕事の第一線に立つ人(会社を背負って立つ人)になるためのいろいろなヒントが随所にちりばめられている。それらを自分のものとし、実践を重ねれば、時間を忘れるくらい仕事が楽しくなるそうだ。
筆者がある会社を訪問することになった。
訪問時間が退社時間と重なったため、訪問予定の会社の玄関から帰宅の途につくサラリーマンがどっと出てきた。その中の一人、女性社員とすれ違ったが、その女性は忘れ物でもしたのか、筆者の顔をみると「失礼します」と声を残して、猛ダッシュで会社の方に逆戻りで走っていった。相手先の会社に入ってびっくりした。先ほどの女性社員が筆者にお茶を入れてくれたのである。後で聞いたら、その女性は課内で一番仕事ができるという。
どのくらい仕事ができるのか聞いたところ、お客様への対応、クレームの対応が特に優れているという。何かあったときに誰よりも先に動くし、とっさのときも正しい対応ができるので、誰からも信頼されているそうだ。
逆に気配りのきかず、会社に大きな損害を与える人たちがいる。
彼らは、会社に埋め込まれたとんでもない地雷と同じだ。
いつ、爆発して大きな契約をだめにしてしまうかわからないからだ。
筆者が接待ゴルフを運営しているとき、最終18番で、得意先の会社部長が難しいパーパットを決め、トップのスコアでホールアウトしたので、商談はうまくいくと確信していたところ、その部長が会心のパットを決めたボールを憤然とした表情で眺め、「先に帰らしてもらうよ」と言い残して帰ってしまったことがある。気の利かない社員が、部長のライバル会社の社名と「○○周年記念」の文字が入ったボールを渡してしまったために起きた事件だ。問題の社員に問いただしたところ、経費節減のために貰い物のボールを提供していたことがわかった。本人は会社のためにしたつもりいるが、想像力が恐ろしく欠如している。
「気が利かない人」もしっかり学べば「気がきく人」になれる。
でも、学校のように椅子に座って学ぶものではない。
これは、現場でしか、学べないことだ。
取引先の部長の奥さんが骨折で入院した。
何をお見舞いに持って行くかという話になり、部下のAは「花」、Bは「果物」と答えた。Cは「花も果物もほかの見舞客がたくさん持ってきている。自分に考えがある」といって、ところてん、ゼリー、フランスパンを買ってきた。全部で2千円もしない品物だ。著者は面食らったが、Cが言うには自分の母が入院したとき、病院食は毎日同じようなメニューばかりで、変わったものが食べたくなると言っていたので、病院では絶対出ない食べものを買ってきたという。
これが大当たり。部長の奥さんは目を輝かせて「こういうものが食べたかったの!」と喜んだという。
AやBのように常識で答えている間は「自分の意志」というものが感じられない。
Cは、まさに「自分の意志で仕事をする人」だ。
気配りには4つのレベルがある。
1「最低限のことをきちんとやる」
2「これぐらいはやってもいいのではないかと考える」
3「プラス・アルファの価値を生み出す」
4「頭ひとつ抜きんでる。普通ではちょっとできないレベル」
レベル4は、Cのように「こんな気配りもあったのか」と感心させられるようなレベルをさす。
本書は、このレベル4に達するのはどうしたらよいかという点について書かれている。
不思議なことに「できる人」ほど大胆であると同時に細心である。
「ダメな人」は小心なくせに大雑把である。
ある日、靴屋の社長が店員を怒ってよびつけた。
陳列棚に飾っているカバンがキズ物であったからだ。
ところが呼ばれた店員は悪びれもせず、ここに並んでいるのは
展示用で売り物ではないので大丈夫ですと言った。
店員が社長からこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
気がきく人は、現状を把握し、対策を立て、どうやればどういう結果が出るというフローチャートを頭の中にどんどんつくっていくことができる人だ。
現状を把握するためには情報を入手する必要がある。
情報こそがすべての行動の原点だ。
興味、関心、問題意識を軸に情報を集めていく。
それらの情報から状況分析を行う。
筆者は地方のセミナーで深夜にホテルにチェックインしたとき、お腹が減っていたのでフロントマンに「レストランをもうやってないだろうね」と聞いた。フロントマンは「もう、この時間ですから」との返事が返ってきた。鍵を受け取り、エレベーターに進んでいくと後ろから年配のフロントマンが追いかけてきて、「失礼ですが、私どもの夜食があります。おにぎりとお漬け物、それにおみそ汁しかありませんが、それでよろしければお部屋に運びます」と説明した。筆者は昼を軽くとった後、何も食べていなかったのでお腹がえぐれそうだった。そのときもらった食事は今まで食べたどのごちそうよりも美味しかったそうだ。
若いフロントマンはお客さんのチェックインのことで頭がいっぱいだった。
年配のフロントマンは状況判断ができる人だった。
彼は、筆者と若いフロントマンのやりとりを聞いて、ピンときたそうだ。
きっと、いろいろなことに関心をもって、アンテナを張り巡らしていたのだろう。
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