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   P&G式 世界が欲しがる人材の育て方
 
    和田浩子(ダイヤモンド社 2008-08-21)
                    

 著者の和田浩子さんはグローバル企業P&Gの日本支社に入社し、日本人女性として初めてマネジメントキャリアに昇任し、「ウィスパー」を日本市場のトップブランドに育てた女性だ。

 ほかにもヘアケア新製品の「パンティーン」や「ヴィダルサスーン」を立ち上、2004年には米雑誌「フォーチュン」でビジネスウーマン50傑に選ばれる。

 P&Gには現在10億ドル以上のメガブランド商品が23個ある。
 日本にもパンパース、ウィスパー、パンテーン、ファブリーズ、アリエールなど身近な商品がたくさんある。
 これらの商品は最初から売れ筋であったわけではない。
 和田さんを筆頭に強いチーム力でマーケティング、営業を行った結果である。
 P&Gの強みは人材育成にあるそうだ。
 GEなど有名な世界企業の経営者にはP&G出身者が数多くいる。
 P&Gが「世界の人材工場」や「ヘッドハンターの人材バンク」と呼ばれる所以である。

 P&Gはよそから即戦力をもっていきなり幹部とすることはしない。
 昇格はすべて内部から行う。企業理念をDNAとして一から教え込むためだ。
 しかしP&Gで仕込まれた人材は世界中の企業がほしがる。
 この本ではP&Gがどうしてそのような人材を育てることができたのか著者の経験を通してリアルに語られいる。


 和田さんは英語を使った仕事がしたいという意識が子どもの頃からあり、大阪外国語大学に入学し、大学時代に私費でイギリスに1年間の留学もしている。
 就職活動の時期をむかえ、インターナショナルの仕事に就くべき、外資系銀行や旅行代理店などいろいろな会社の就職試験に挑戦する。
 しかし、1970年代後半はまだまだ女性が長く勤められるような職は少なく、4年生国立大学卒の女性というだけで敬遠される始末で一社も受からなかった。

 ある日、英字新聞で「バイリンガルセクレタリー募集」という記事をみつけ、あまり聞いたことがない名前であったがP&Gサンホーム社という会社に面接に行く。P&Gはその当時まだ小さい会社であった。募集の条件は職務経験者で英語のできる秘書を求めるというものであった。もちろん秘書の経験などなかったので不採用となる。しかし、マーケティング部門に日本人女性がいないのでがんばってみないかと誘われ週3回のインターン生として働くことになった。

 そこから数字の山との戦いが始まる。
 売上げや市場占有率を北海道、東北など8つの地区毎に紙に書き出し、電卓で計算して一つひとつ表に落としていくという大変な作業であった。
 小学校の頃、そろばんを習わなかったことを後悔しながら数週間かけ、見栄えのいいグラフに仕上げて上司に持って行ったら、「それで終わり?それは仕事ではありません。仕事の始まりです」と返されてしまう。

 グラフをきれいに見せることより、もっと大事なことがあることを知らされる。
 グラフから課題を抽出し、その課題を解決するためにどうアクションをとったらいいか考え、まとめることである。

 それから和田さんは仕事をするとき「目的は何?」と強く意識するようになった。


 和田さんがP&Gでたたき込まれたスキルの1つに、メモランディングがある。
 会議報告書や企画書は、簡潔にかつわかりやすく1ページにまとめるというスキルである。

 数万人がいろいろな国で働く企業である。
 上司が海外のオフィスにいるときもある。何ページにもダラダラと続き、読んでもわかりづらい企画書は企業にとって時間と機会の損失となる。

 P&Gにおいては、社内で効果的なメモを書く能力を徹底的に仕込まれる。
 それをすることで、社内のコミュニケーション向上に資するだけでなく、自分の考えをまとめる能力アップにも役立つ。

 和田さんがまだ半人前の時代、上司から、プレゼンで話すように書くといいとアドバイスされる。プレゼンでは時間制限があるので話すことは限られている。「何について承認がほしい」「予算はいくら」と、順を追って話す。報告書も同じように結果から組み立てていく。

 企画書は相手に行動をとらせたり、感心させるためにある。
 企画書や報告書は、読み手の気持ちに変化を起こしてはじめて意味があるのだ。


 
 和田さんがP&Gでたたき込まれたスキルの1つに、メモランディングがある。
 会議報告書や企画書は、簡潔にかつわかりやすく1ページにまとめるというスキルである。

 数万人がいろいろな国で働く企業である。
 上司が海外のオフィスにいるときもある。何ページにもダラダラと続き、読んでもわかりづらい企画書は企業にとって時間と機会の損失となる。

 P&Gにおいては、社内で効果的なメモを書く能力を徹底的に仕込まれる。
 それをすることで、社内のコミュニケーション向上に資するだけでなく、自分の考えをまとめる能力アップにも役立つ。

 和田さんがまだ半人前の時代、上司から、プレゼンで話すように書くといいとアドバイスされる。プレゼンでは時間制限があるので話すことは限られている。「何について承認がほしい」「予算はいくら」と、順を追って話す。報告書も同じように結果から組み立てていく。

 企画書は相手に行動をとらせたり、感心させるためにある。
 企画書や報告書は、読み手の気持ちに変化を起こしてはじめて意味があるのだ。


 P&Gでは、ブランドマネージャーになって初めて1つのブランドをトータルで仕切ることができるようになる。

 和田さんはわずか入社3年半という異例の早さでブランドマネージャーに昇格する。
 ブランドマネージャーはブランドの運営のほか、もう一つの大きな責任を負う。
 それは部下のトレーニングだ。
 業績で満点の成績を残しても、部下が成長していなければ50点しか評価してもらえない。人材育成の評価に半分も配点するのはP&Gぐらいなものである。
 人を育ててこそP&Gの未来があるという考え方に立っている。
 新入社員からCEOに至るまで日々成長することが求められている。
 日本の会社は部下を大事にするが、いわゆる「子飼い」のような育て方をして派閥の長がこけたら皆こけるというような仕組みになっている。誰がやめようとも、他社に引き抜かれようともビクともしない仕組みをP&Gは持っている。

 トレーニングの基本はOJTである。
 お腹を空かしている人に魚を与えるような教え方はしない。
 教えるのは魚の釣り方だ。
 問題に面したとき応用が利かないような教え方はしないようにする。
 P&Gで期待されるスキルは次のとおりである。

 リーダーシップ
 実行力(イニシアティブをとる)
 優先順位をつけて仕事をする
 クリエイティブ力
 他人との効果的な協同
 戦略的思考と問題解決力
 コミュニケーション力


 和田さんは「ウィスパー」という新たなブランドを、強豪「花王」の製品で席捲する市場に投入し、見事にこれを定着化させ、100億円事業にまで成長させた。

 ところが、ウィスパーの成功をチームと喜びを分かちあうのもつかの間、不振のヘアケア事業部への転勤を命ぜられる。

 ヘアケア部門は日本で立ち上がったばかりで、日本初のリンス・イン・シャンプー「リジョイ」を市場に投入したが、品質を指摘する消費者からのクレームに押され、自主的に出荷を停止するという散々な状況にあった。

 クレームはリンス効果が強すぎて、髪がきれいに洗えないという致命的な欠陥を指摘するものであった。

 チームの士気は低下していた。
 和田さんは、マーケティングだけでなく研究所、生産部門、営業から関係者を集めディスカッションを行った。
 目線を内向きから外向きに変えるようにした。
 消費者が買えるものは製品であって事業部ではない。
 成功するためには常に目を「外」に向けなければいけない。
 シャンプーしながらリンス効果も得られるのは便利かもしれないが、グローバルな視点でとらえた価値観だ。日本独特のポジショニングを無視してはならない。

 和田さんは、日本のポジショニングは「優れた仕上がり」であると本社に訴え続けた。
 最初は納得を得ることができなかった。
 限定地区でテストを何度も繰り返し、2年の月日を費やし、ようやく本社からGOのサインをもらい、ようやく全国展開できるようになった。
 グローバルの波に流されずに勝ち取った勝利でもあった。
 それは失敗を糧にマイナスからプラスに大きく成長したチームの成果でもあった。



 P&G式 世界が欲しがる人材の育て方
―日本人初のヴァイスプレジデントはこうして生まれた
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