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4月3日〜4月7日(毎日スキルアップ通信で紹介)

 

プロの仕事術
 
  著者  『THE21』編集部
  発行  PHP 2005.12.27
  価格  1,200円


 月刊誌『THE21』は、ビジネスパーソン向けに毎月10日に発行される月刊誌だ。

 毎月、仕事の能力やスキルを向上させることができるよう、第一線で活躍しているビジネスパーソンのノウハウを紹介を続けている。

 そのインタビューの数も100人に迫るが、本書はそのなかでも特に面白い、参考になると編集部が感じた20人の話を厳選して、収録している。

 『THE21』編集部メンバーは、集めたプロの仕事術を記事にするだけでなく、実際に自分たちにも応用してみたという。

 すると、仕事のスピードが飛躍的に高まり、残業時間が激減した。
 また、雑誌自体の好調な売れ行きにも関係しているという。


【第1章】「考える技術」と「書く技術」


■飯田亮(セコム創業者)
 「紙に書かないかぎり絶対に考えはまとまらない」

 飯田氏は、日本で初めて警備保障事業を興した。
 その後、セキュリティーにとどまらず、情報、メディカル、損害保険なのでも手を広げ、次々と事業を成功させてきた。

 飯田氏の思考のもとは、「原稿用紙」

 質問して、すぐに返答するような人は「頭はいい」かもしれないが思考力はないという。

 思考力というのは、集中して長い時間考えることができる力だそうだ。
 
 これまで誰もが手がけていない新事業を次々に考え出してきた飯田氏は、何よりも長く考える時間を大切にしており、ここ一番と言うときには、必ず何も書かれていない原稿用紙を取り出す。

 図にすると、プランの矛盾点、問題点が見つかりやすくなる。
 やらなければならないことを、箇条書きにすると優先順位がわからなくなるので、フローチャートにして書き出す。

 ビジネスデザインは、誰にも邪魔されず一人でトコトン考えるようにしている。

 
■熊谷正寿(GMOインターネット(株)社長)
 「『思考チェックリスト』で頭と時間の浪費を防ぐ」

 熊谷氏が21歳の時、35歳までに自分の会社を設立、上場させると周囲に宣言し、そのとおり35歳と1ヶ月でGMOを上場させた話は有名だ。

 熊谷氏の最大の武器は1冊の手帳。
 ベストセラー「一冊の手帳で夢は必ずかなう」の著者としても知られる。

 すばやい判断、問題解決のできないビジネスデザインは多い。
 熊谷氏に言わせると、彼らは思考力がないというより、目標が定まっていないことからきているそうだ。

 まず、目標を数値化させる。
 人脈を広げるではなく、1ヶ月で50人と名刺交換するというように。

 熊谷氏は、問題に突き当たったとき、考えられる解決策を全部書き出すことにしている。。
 たくさん書き出せるよう新聞(毎日、日経)、メールマガジン、ブログ、各種雑誌までくまなく目を通すようにしている。

 情報のインプット量が、ひねりだす解決策の量と密接に関係しているそうだ。
 インプットには、お風呂のシャワーが水から湯に変わる短い時間でさえ利用している。
 自分の時間を生み出すためには、お金を惜しまない。
 インプットした情報は、必ず週末に整理するそうだ。

 整理する際は、付箋紙(ポストイット)にいろいろ書き出し、共通するものをくくっていくKJ法を使っている。


KJ法については、毎スキ2005.9.8記事 「発想法」参照
http://blog.mag2.com/m/log/0000130996/106395190?page=6#106395190



■南場智子((株)ディー・エヌ・オー社長)
 「論理的に正しい答が必ずしも正解ではない」

 南場氏は、マッキンゼーに新卒で要領が悪く、仕事に就いていけず挫折。2年ほどで大前研一氏にしかられながら退社し、逃げるように渡米。そこでMBAを取得し、再びマッキンゼーに復帰。しかし、またプロジェクトで失敗。

 これが最後と思って引き受けたプロジェクトが、数百億円の収益を挙げさせるという快挙。これから人生がうまく回り始めた。

 うまくいった理由は、これが最後と思うとすっと力が抜けたからだという。
 それまでは、仕事に対して、バリューを挙げなければ、付加価値を高めなければという圧迫感で苦しめられていたという。

 自分でなく、チームを大事にした。
 南場氏は、いまだに自分を二流のコンサルタントとよぶ。

 ロジカルを突き詰める能力は足りないが、周囲との信頼関係、チームで成果を出すリーダーシップでここまでこれたのだという。

 物事を考えるときに、一つの線でなく、複数の線で考えるようにしている。
 ビジネスは人間が動かしている。論理的に正しいからといって必ずしも正解でないときがある。

 いろいろな線で考えた案を書き出し、チームとして働く自分たちが一番元気にやれそうな案を採択するようにしているそうだ。



【第2章】「話す技術」と「聞く技術」


■樋口裕一(「白藍塾」塾長)
 「論理的な話し方&聞き方は訓練次第で身につく」

 樋口氏は、大ベストセラー「頭がいい人、悪い人の話し方」の著者として知られる。

 あうんの呼吸や以心伝心といったコミュニケーション法は日本の専売特許であった。
 しかし、グローバルな時代を迎え、あうんの呼吸は通用しなくなってきている。

 というか、樋口氏に言わせると、あうんの呼吸でさえ、まともにできない日本人が増えているそうだ。


 もともと論理的でなかった日本人の思考力がさらに低下し、外国人に対してだけでなく、日本人同士のコミュニケーションでさえもままならない人が増えてきているらしい。


 樋口氏は、20年間、受験生の小論文指導を続けてきてた。
 その樋口氏が感じることは、論理的な文章が書けない学生が増え続けていることだ。

 今では、一千字の小論文でさえ、最後まで論理が破綻せず書き通せる学生は10%にも満たないという。

 その原因は、学校の国語教育にある。

 先生の口から出る無責任な言葉「思った通りに書きなさい」が、どれだけ子どもに悪影響を与え続けてきたことだろうか。

 好き勝手に書いていたら、いつまでたっても論理的文章など書けるようにはなれるはずがない。


 さて、論理的に書けるようになるため、自分と価値観の違う人から発せられた言葉を正確に理解できる能力を養うことが必要だ

 いろいろな価値観の人が書き込む新聞の投書欄を読むと勉強になる。

 さらに思考を深めようと思うのなら、自分とはもっとも遠い意見の人に注目し、その人の意見の立場に立ち、論理の構築をはかることだ。

 さまざまな価値観を受け入れることができるようになると、自然に聞く力もついてくるそうだ。



■藤巻幸夫((株)セブン&アイ生活デザイン研究所社長)
 「相手が誰であろうと同じ目線で話すのが基本だ」

 藤巻氏の仕事人生は伊勢丹のカリスマバイヤーから始まる。
 藤巻氏が行動を起こせば、まるで風が舞い立つように、周囲の人々にも影響を与え、巻き込んでいく。それもこれも、藤巻氏のコミュニケーション力に負うところが多い。


 藤井氏は、2時間の講演ぐらいなら、メモなしで話することができるそうだ。
 藤井氏は、人と会ったり、街を歩けば、それだけで、いろいろな発見や感動に出会い、そのことを誰かに伝えたくてたまらなくなるという。


 昼間は会社でだらだら仕事をして、夜は同僚と飲みに行き上司の悪口をつまみに安酒を飲み、休日は家でごろ寝といった習慣を続けていたら、感動との出会いとはほど遠い生活になってしまう。

 藤井氏は週に三日は本屋に顔を出し、映画は月10本以上観て、人とも積極的に会うそうだ。


 まず、五感を刺激して、好奇心を目覚めさせ、外に出よう。


 会話が下手だからと言って、本を読んで勉強するより、好奇心を発揮して、ネタのインプットを続けた方が、ずっと話し上手になれる可能性は高い。

 コミュニケーションは、とにかく他流試合を数多くこなす。
 そのうち、誰と話しても、「この人とはこういう話し方をすると、うまく伝わるぞ」といった感覚が身についてくるという。

 話すときも、聞くときも、相手の心を思いやるホスピタリティの精神を大事にしないといけない。それが会話のセンスというものである。



山村幸広(エキサイト(株)社長)
 「質問を投げかけながら相手の答を聞き出す」

 山村氏は新人時代、入社して3年たっても、契約が全然取れないダメ営業マンであった。

 その山村氏に転機が訪れたのは、これまで、どんなにやり手の営業マンが挑戦してもうまく行かなかった自動車メーカーから契約を取ったときである。

 特別のことをしたわけでない。
 大雪で交通機関が麻痺したとき、都心から1時間ほど離れたその取引先に、他社の営業マンは誰一人、約束の時間に行くことができなかったが、山村氏だけが遅刻せず時間前にメーカー会社に到着することができたことがきっかけとなった。

 話すテクニック、聞くテクニック以前に、姿勢をよくしないといけない。

 若手のビジネスマンが、いくら口先が上手でも、取引先の熟練ビジネスマンには、すぐに見破られてしまう。


 まず、基本的なマナーをつけることが一番大事だ。

 コミュニケーションの技術は、テレビで司会者が識者にコメントを求めたときに、自分で答えてみる練習を重ねていけば、自然と磨かれていくという。


 社員に対し、上から、ああしろ、こうしろでは、モチベーションを上げることはできない。

 社員に対して、「こういう場面において、ベストの選択は何だろう」と
考えるようにさせるようにすると、社員自身が納得しながら、現状の改善に力をつくすようになる。


【第3章】「最強の営業技術」

■藤田晋(サイバーエージェント社長)
 「頭と足のバランス」にこそ目標達成の秘密あり

 藤田氏は98年にサイバーエージェントを設立し、2年後には東証マザーズに上場。「渋谷で働く社長の告白」の著者としても知られる。

 その藤田氏も、元はといえば営業マン。
 藤田氏の営業スタイルは、ひたすら量をこなすこと。

 若い時代の藤田氏は、量をこなすことで会社に認められ、どんどん仕事も回ってきた。「仕事の報酬は仕事」であった。


 藤田氏には「あとがない」という思いがあった。

 藤田氏はミュージシャンになりたかった。その夢を高校3年で捨てる。
 代わりに、経営者になることを目標に定めた。

 だから、経営者もだめだったら、あとがないという焦りが、何をするにも心の中にあった。

 藤田氏は、がむしゃらに営業に出かけた。ただ、どこにでもいるモーレツ営業マンと違うのは、経営的な視点をもって、お客さんと対峙していたことである。

 営業には頭と体のバランスが必要なのだそうだ。
 藤田氏のもとに営業マンがたくさん訪れるが、ちょっと会話しただけで、日経新聞も読まずに営業に回っている者はすぐわかるそうだ。

 自分の商品だけでなく、訪問先の会社のビジネスモデルや、人事マネジメントがどうなっていて、どこに問題があるのかまで、俯瞰しておくことが重要である。

 その上で、相手が気づいていないニーズを発見でき、自分の商品をからませ、新たな提案ができるよう経営者的視点を持つことが重要である。



■廣瀬禎彦(コロムビアミュージックエンタティンメント(株)CEO)
  遠回りに見ても質問することが営業の近道だ

 著者は、IBM、アスキー、セガなどの役員を歴任したあと、現職を務める。
 元もと技術者であったが、らつ腕営業マンとして知られる。

 廣瀬氏も初めから順調であったわけでない。
 技術畑から営業に回され、最初は商品の説明しかできなかった。
 1年、売れない時代を経験して、あることに気づく。

 "最後の一押しをしなきゃダメ"ということ。

 交渉は、意外にあいまいに進んでいく。
 とくに、お金の支払いについては、話しにくい。
 でも、あとは相手が決断するだけという場面は必ずやってくる。
 そこで、「ぜひご購入ください」と一押しすべきである。
 最後の一押しは、男女関係と同じ。
 押すタイミングを外すと、他の人に持って行かれる。

 ホームページがしっかりしていれば営業はいらないという考え方もあるが、廣瀬氏はそう考えない。

 なぜなら、何を価値とするか、お客さんによってまったく違うからだ。
 お客の隠れたニーズを掘り起こすことができる営業マンこそプロといえる。

 商品のことを先に説明しなくてよい。
 まず、お客さんの状況を知るため、質問から始めた方がいい。

 「ゴルフをはじめた」、「息子がもうすぐ免許を取る」
 世間話の中に、ニーズのヒントがたくさん隠されている。

 さらに話しこめば、こちらの商品に対する不満や、商品を選ぶ価値判断まで把握することができる。



■和田裕美((株)ペリエ社長)
  マーケティングの見地から営業トークを磨こう

 書店のビジネスコーナーで和田裕美の名を見ないことがないくらいの売れっ子で、営業に関する著書は数え切れない。

 その和田氏は「自分は内気で人見知り」と言う。
 「自分をトップ営業ウーマンに押し上げたみなもとは、その営業らしからぬ性格」なのだそうだ。

 24歳のころ英語教材の電話営業に回された。
 断られるのがこわくて、元気のない顔で電話をずっと見つめる。周囲は、この子はもう明日から来ないだろうと思われていた。

 変わるきっかけは、書店での対面営業のときに、つかんだ。

 女性客にいつものマニュアルトークをしていてたら、その女性が重いバックを持っていることに気づいた。尋ねたら中身はダンスの衣装で、アメリカに留学したいと自分の夢を話してくれた。

 話しこんでいるうちに仲良くなる。
 マニュアルトークがばからしくなる。

 いつもなら「あと2名しか入会できません」と言わなければならないところ、この女性客には「当英語学校はいつでも入会できます」と話す。

 そしてマニュアルにないことも正直に言う。
「いつでも入会できるけど、教材もたくさんあるし、お金もかかります」
「教材買ったからといって、夢のように英語が話せることもありません」

 これが和田氏の契約1号に結びつく。

 これを機に、和田氏のスタイルは「相手から奪う営業」から「相手に与える営業」、「商品を売る前に、自分を売れ」に変わっていく。

 自分の心のケアも大切だ。
 いつも「わくわく」するようにしている。自分が楽しくなければ、相手も楽しい気持ちになってくれないからだそうだ。


【第4章】「最強の勉強術」

■大前研一(アタッカーズ・ビジネススクール代表)
 「他流試合を繰り返し自分の頭を"リブート"せよ」

 中国は、投資先あるいは市場としても日本にとって、なくてはらならない存在。

 中国の繁栄と危うさについて語る図書はたくさんある。しかし、どんな学者よりも早く現在の中国を予見したのは大前氏である。

 時代の流れを誰よりも早くつかみ、専門家を超える結果を出す"大前流勉強術"は次のとおりだ。

 大前氏は、毎年一つ、勉強のテーマを定める。
 これに集中的に時間をかける。その集中度は想像の域を超える凄まじさだ。
 1年間で、他のスペシャリストもかなわない専門書が出版できるぐらいまでには自分を成長させる。

 大前氏にとっての勉強法は、徹底して足で情報を集め、自分で考えることである。文献を読んでわかった気になる程度のレベルとは異なる。
 現場主義の徹底である。

 社会に出たらもう試験は受けなくていい、勉強しなくていいなどと思っている多くの日本のビジネスマンを見ていると、薄暗い気持ちになるという。

 「勉強=受験勉強」は間違っている。

 義務教育で教わる程度の知識なんて、五百円のメモリーチップにすっぽり収まる程度の容量しかない。五百円程度の市場価値しか有さない知識で何ができよう。

 新聞や雑誌といったインプットは最小限にし、身近な問題を題材に、自分ならどうするか、考えるクセつけるべきだ。

 新聞や雑誌を記事として読むのでなく、課題として真摯に読むのである。

 表題の"リブート"とはIT用語で、コンピュータの電源を切ってまた入れ直すことをいう。

 大前氏が言いたいのは、会社でそこそこに仕事ができるようになって、そこで停滞してしまわないということ。

 リブートして、これまでの知識を全部捨て去り、新しい回路づくりに挑戦する。
 最も効果的な方法が、社外のセミナー、勉強会に出席して、思いっきり恥をかく。

 そこでついていけないかもしれないという恐怖感を味わい、それを次なるステップへの起爆剤にするそうだ。


【大前研一のアタッカーズビジネススクール第二期募集開始!】
http://tinyurl.com/n29km




■松田公太(フードエックス・グローブ(株)社長)
 「人生の目的から「いま学ぶべきこと」を逆算せよ」

 会社名ではなく、「タリーズコーヒー」を育て上げた人といえば、わかりやすいだろう。

 松田氏は、アメリカでタリーズの「スペシャルティコーヒー」に惚れ込み、28歳で銀行を辞め、大資本の後ろ盾もなしに、たった一人で米国本社と渡り合い、日本への展開権を獲得した。

 松田氏が興した会社「フードエックス・グローブ」は、外食産業界において上場までの最短記録を保持している。

 その後、当時では一般的でなかったTOB(株式公開買付)による上場廃止で、会社経営の安定化にも成功している。

 それらは松田氏のたゆまぬ勉強による成果だ。

 人生の目的を明確にして、その目的から逆算して足りないものを勉強すると、確実に自分の成長につながるという。

 「目的」とは、人生を通じた夢や使命のこと。漠然としたものでいい。
 「目標」とは、その目的を果たすための手段。具体的なものがいい。

 目標を達成するためには、どんなにつらいことでも、たとえそれが単純作業でも真剣に取り組む。松田氏にいわせると、この世に無駄なことはなく、むしろ『つまらない』ことに自分自身を成長させるキーワードが隠されていたりするそうだ。

 日々、勉強を続けるモチベーションを維持するために、つねに「最終ゴールはここでない」と認識しているという。



■須藤実和(ベイン・アンド・カンパニー パートナー)
 「仕事のグリップを握るための勉強に集中しよう」

 華々しいキャリアの持ち主である。
 博報堂マーケティング局を皮切りに、公認会計士としてアーサー・アンダーセンに勤め、経営コンサルタントとしてベイン・アンド・カンパニーに転職、生存競争の厳しいコンサルタント業界で、第一線で活躍を続けている。

 キャリアの獲得・維持に並々ならぬ勉強が必要である。
 須藤氏は、キャリアアップのために勉強したわけでないという。

「目の前にある課題をクリアすることを目標にして、自分の力を磨くようにしていたら、その結果としてまた新しいステージが開かれた」

 何から手をつけていいかわからない人には、参考になる考え方でないだろうか。
 須藤氏の地に足のついた勉強スタイルは参考になる。

「仕事がつらいのは、仕事に精通していないから。
「とにかく早く"仕事のグリップ"を握ろう」

 仕事に能動的に参加するために、早い話がもっと仕事を楽しめるために、自分に足りない部分を勉強で補うようにしてきたのだそうだ。

 二十代後半で公認会計士試験の勉強に取り組む。このころ博報堂マーケティング局に所属していたが、マーケティングのみの専門知識では、担当した企業へのお手伝いに限界を感じたからだという。このときの勉強が、ビジネスに携わる自分の足腰を鍛える上で、大きな財産となる。

 その後、ベイン・アンド・カンパニーに転職し、コンサルタントとして活動を始めたが、自分に何一つ得意分野がないことに気づき、最新の経営手法が書かれた図書を手当たり次第に購入し、勉強する日々が続いたそうだ。

 須藤氏は、いつも良い意味での「あせり」を自分の中に置いて、集中するための栄養剤としている。


【第5章】「採用される人」の条件

■北尾吉孝(SBIホールディング社長)
 「いつの世も『才』と『徳』を兼ね備えた人物が勝つ」


 SBIホールディング社長北尾吉孝氏の名前はよくニュースで見かけるので、ご存じの人は多いと思う。

 今週4日は、姉歯建築士の耐震偽装を見抜けなかった指定建築確認機関「イーホームズ」を傘下に収めたとして新聞、テレビを賑わせていた。

 また、今年の2月、ライブドアとフジテレビの経営権をかけた一連の攻防において、北尾氏がホワイトナイトとして登場し、戦いを事実上終焉させるに至った。このニュースもまだ記憶に新しい。

*「ホワイトナイト」敵対的買収を仕掛けられた対象会社を救うため
          友好的に買収または合併する会社のことを白馬
          の騎士にたとえて呼ぶ。

 「日本に自分よりM&A(企業合併、企業買収)に詳しい者はいない」と、北尾氏はテレビカメラの前で平然と言ってのける。

 その迫力は、堀江社長をビビらせたに違いない。その強面(こわもて)ぶりは、"白馬の騎士"のイメージとはかけ離れている。


「戦争を仕掛けたわけです。北尾は怖いと相手が勝手に思って引いてくれれば、戦わずにして勝つことができます」

 テレビの顔は"演出"だそうだ。


 その北尾氏は、自分の会社に採用するときは、知識でなく、仕事観や人生観をしっかり観察するようにしている。

 面接は8人同時に部屋に入らせ、端から順番に話を聞いていく。ひととおり聞いたあとで、突然、次のように聞く。

「誰の答がどういう点で印象に残りましたか」

 あらかじめ用意した自己アピールは何の役にも立たなくなる。
 その人の考え方、普段から人の話を誠実に聞く習慣があるかなどがわかるという。

 また、「才」だけではだめで、「徳」を兼ね備えていなければ採用しないそうだ。

「才」=大 「徳」=大 ⇒ 『聖人』 

「才」 < 「徳」   ⇒ 『君子』 

「才」 > 「徳」   ⇒ 『小人』 不採用


「もう一つ、欲しい才能は『胆識』。誰かに何か言われたくらいで、すぐに判断がぐらつくことがない人がほしい」



■渡邉美樹(ワタミ(株)社長)
 「ゴールを明確化できる人」は必ず結果を出す

 本誌には何度も登場しているので、説明は不要かもしれない。
 トラック運転手で貯めた資金を元手に「つぼ八」のFCオーナーとして起業。
 その後、居酒屋「和民」を中心に店舗を全国に拡大し、現在は全国に500店舗を展開中。


 渡邉氏は、面接の時、

「夢や目標を持っているか」
「素直で明るい性格の持ち主か」
「ワタミの理念に共鳴しているか」

を重視している。

 ただ、長年の採用試験の経験から、「〜すぎる人」は採用しないようにしている。

「あいさつで元気がよすぎる人」、「人当たりがよすぎる人」、「愛想がよすぎる人」は採用しないそうだ。

 「すぎる人」は、どこかに無理がかかっている証拠、必ず暗い一面を持っているという。ビジネスの世界は長距離マラソン、「すぎる人」はどこかで必ず切れてしまうそうだ。

 ゴール(夢、目標)を明確にイメージする能力をもった人はほしい。
 ビジネスでもなんでも、何かを成し遂げるのは、この力を持った人であるそうだ。



プロの仕事術
 
  著者  『THE21』編集部
  発行  PHP 2005.12.27
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