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高原慶一朗
1961年、大成化工(現ユニ・チャーム)を設立。
2004年、産業振興功労により旭日重光章を受賞。
常に、現場の声を体で感じ、現場に生きるたたき上げの創業者。
勉強熱心で、常にノートを持ち歩き現場の営業員の言葉を書き留める。
「もうこんなもんでええかと安心したときに成長は止まるんや」が口癖。
世の中は理屈どおりにはいかない。
理屈で物事を見ている限り、本質を見抜くことはできない。
情報ばかりに頼っていては、身動きが取れなくなる。
百聞は一見にしかず。
百見は一体験に及ばず。
毎日、汗や涙を流し、喜び、笑い、悲しみ、怒りながら、懸命に生きている仕事の現場。そこは人生の現場。その現場からけっして目をそらさず、じっくり見て、考えて、ひたむきに行動する。
迷ったら、現場。
現場でやり直す。
1961年の会社創業以来、ひとときも大学ノートをわが身から離さず、いろいろな人と関わり、気づいたこと、わき出たアイデアを、その場でノートに書き込む。
いまでは、大学ノートも700冊以上。
これが高橋氏のよりどころである。
何か知りたいとき、考えを練るとき、迷わず「現場ノート」を開く。
高原氏は自分を特別の人間、あるいは才能に秀でた者とは思っていない。
人より恵まれた者があるとしたら、とことん仕事が好きであることと、最後まであきらめない「しつこさ」であると述べる。
平凡を積み重ねることで、非凡な地点に到達できるというのが高原氏の生き方だ。
『世間は生きている。理屈は死んでいる』 勝海舟
人間は、自分の適性に仕事を合わせるよりも、仕事に合わせて適性を築いていく方が、遠回りに見えて、じつは得るものが多い。
「好きなこと」は、「好き」以上の枠から出ない。
「やるべき事」は、「好き」な事より大きな収穫が得られる。
自分を成長させることができる。
現場より神はなし
高原氏が率いる「ユニチャーム」の主力商品、紙おむつの最大の特徴は、使用者(赤ちゃん)と購買者(親)が違うところだ。
つまり、使い心地について、直接、利用者の声を、すくい上げることが難しい。
そのため、現場での観察が何より大切。
オープンタイプの紙おむつの角が赤ちゃんの肌に当たり擦れて赤くなるため、お母さんがその角を切って丸めていることを知ったことがある。
数字だけのデータではわからないことだ。
何百という家庭を訪問して、データを採取した。
赤ちゃんを無理やり寝かせ紙おむつをすると、当然赤ちゃんは不快になり、手足をぱたつかせる。何とか出来ないものか?
そこから「パンツ型の紙おむつ」が生まれた。
ユーザーの実感へ再接近するため、自らナプキンを一晩当てて寝る男性社員もいる。
現場主義は、ジェット機の時代に馬車で行くような非効率さがある。
でも、手間暇惜しまない、まじめさ、泥臭さが、長い目でみるとキャリアの足腰を強く鍛えることにつながっている。
現在は、ひとつの業務をじっくり育てるのではなく、誰かが大きくしたものを会社が買収するのがはやりだ。
お金で手間や時間を買う時代だ。
仕事には基礎部分と応用部分がある。
応用部分はかけ算で伸びていくが、基礎部分はこつこつと足し算で積み重ねていくほかないところだ。
愚で固め、才で伸びていくのが人間。
一定部分は、必ず手間暇かけて手作りしないといけない部分だ。
例えば、旅館に宿泊したとき、「食事は何時からです」「入浴時間は何時までです」と一方的に通告されることがあるが、これはサービスではない。旅館の都合を客に押しつけているに過ぎない。そんなサービスは死んでいる。現場感覚の鮮度が落ちてしまっている。基礎部分ができていない。
愚かさも、それに徹すると、やがてかしこさに変貌する。
最近の若い人は、仕事をスマートにしようと考えている人が多い。
高原氏はそのことをいいことだとは思っていない。
何度も「なぜ?なぜ?」をくり返しながら、自分自身の手を汚すくらいの気持ちであってほしい。
頭は悪い方がいい。
鋭い頭を持とうとするな。
鈍くてもねばり強い頭の方がいい。
「そんなこと常識だ」と言われる常識ほど、不安定な常識はない。常識なんて、我々が考えているほど安定はしていない。
安定志向は、無難ともいうが、それこそ難なのかもしれない。
波で揺れる船の上で安定を保つためには、自らが小刻みにバランスをとらないといけないはずだ。
本当の安定とは、変化にいつも対応することである。
高原氏はこれまでたくさんの人を見てきたが、いい発想、いいアイデアは、ほとんど"はみ出し者"から生まれてきたという。
言いかえると、失敗しない優等生からはいい人材が育たないそうだ。
失敗しない優等生からは良い人材が育たない。
ユニチャームの「紙おむつ」は、ひとりの変わり者の開発部員の「しつこさ」から生まれた。
当時、紙おむつの市場はP&Gが席巻していて、ユニチャームのつけいる隙はまったくない状態であった。
それでも、彼は「紙おむつをやらせてください」と本社にお百度を踏んだ。
次第に周囲から厄介者扱いにされ、誰もが彼を遠ざけるようになった。
彼は、勝手に市場リサーチと技術開発に着手した。
その噂を聞いて、高原氏は、四国の技術部に所属する彼に会いに行くことにした。
彼は、高原氏に向かって、
「市場に出ている「紙おむつ」は完成品でなく、わが社が介入する余地は十分ある。立体感のあるパンツ型のおむつは、絶対ヒットする」
と真剣な表情で自分の確信をたんたんと語った。
高原氏はおもしろいと直感した。
今やベビーおむつ市場の主流商品となった「ムーニー」の誕生秘話だ。
高原氏は、変わり者、はみ出し者、角のある者は、「買い」だと主張する。
なぜなら、常識の外で、とんがっていることを考えている可能性が高いからだそうだ。
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