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6月28日〜7月2日(毎日スキルアップ通信で紹介)
論理思考と発想の技術
後 正武 プレジデント社
 後正武氏は大企業や中堅企業の戦略的コンサルタントとして知られるが、長年のコンサルタント業務を通じて、人を動かすために「論理」がいかに大切かを知り、そのスキルを磨かれてきた。その集大成として本書はまとめられたものである。筆者はロジックの問題点を見抜くことができなければ経営を危なくすると説く。例えば、同業他社が相次いで西欧に進出し、EC統合前にインサイダー化をめざしてるとする。そこでわが社も西欧へ進出すべきだという主張だけで西欧への進出をめざすような企業が、ロジックの罠を見抜けない危ない企業だと説く。冷静に状況分析をしていくと、ほとんどの企業が、組合問題や政府との折衝など現地で予想だにしなかった厳しい環境にさらされていたというようなことだってある。
 製品のシェアが伸びないのは、他社のように新製品を開発して市場に投入していないからだというのも、もっともなように聞こえるが、しっかり論理思考されたものではない。シェアが伸びない理由を分析しなければならない。例えば現在の商品が知名度が低く、ブランド戦略が今後必要なのかもしれない。あるいは、営業マンの能力開発、一層の販路開拓が必要なのかもしれない。理詰めで状況を解きほぐしていくと、解決策が見えてくるものだ。
 日本人の論理思考を弱めたものは国語教育にある。学校で、長文を読ませ修辞の巧拙や情緒にこだわりすぎ、筋道を立て順序よく考える論理思考を教えてこなかった。日本人はは事実を大事にするように論理思考についても正しい能力を身につけるよう努力すべきだ。
 論理の基本は、命題をたて、帰納法や演繹法を駆使して、その命題を説くことある。命題は独立した1つ文章で表されるものでなければならない。例えば、「ソクラテスは死ぬ」という命題を考えてみる。

演繹法
 ̄ ̄ ̄
   大前提 「人間は死ぬ」
   小前提 「ソクラテスは人間である」
    ↓
   結 論 「ソクラテスは人間だから死ぬ」

経験法
 ̄ ̄ ̄
   経験1「アリストテレスも死んだ」
   経験2「プラトンも死んだ」
   経験3「今まで、人間で死ななかった者はいない」
    ↓
   結 論「ソクラテスは人間だから死ぬ」

 ロジックを展開していく上で大事なのはメッセージ一つひとつは一文で構成されることだ。変に飾ったり、2つ以上の意味を持たせてはならない。
 論理を展開するとき、矛盾を生まないために法則がある。

○足し算、引き算で考える(全国をわける。生物と無生物でわける 等)
○かけ算で考える(一店当たりの売り上げ × 店舗数 等)
○マトリックス思考


 筆者は、「(日本人は)食い違った主張を、感情に流されずに合理的にきちんと解決しようとする基本姿勢には欠けているような気がする」と考える。確かに靖国神社参拝に対する中国や韓国の批判に対し、対等に議論をしているようには思えない。先に、靖国神社参拝賛成派には「怒り」が、反対派には「過去への反省」が頭の中の大部分に居座ってしまい、そこから議論が進まない。北朝鮮との外交についてもいえる。向こうは論理思考で二重、三重の理論武装と心理術を駆使して日本に譲歩を迫り、いつも相手ペースで振り回されてしまう。あちらからすれば小泉首相もわが国の政府高官も歯ごたえがなさ過ぎて赤子の手をひねるに等しいのかもしれない。

 論理に強くなるためには「争点」をみつけ、その「争点」を分解していく。例えば、割り箸は日本の文化としてとらえ容認すべきか、熱帯林などの資源保護のため廃止すべきか争点になって賛成派反対派が議論を交わすことになったとしよう。争点は語尾を「か」の疑問形で終わらせると、作業が進めやすい。この場合、一番上の階層にくる争点は、「割り箸は廃止すべきか否か(イメージ図参照)」となる。これを分解すると「重大か」、「メリットは何か」、「デメリットはなにか」にわける。この「割り箸論争」は一時期流行ったが、分解していくと論争以前の大きな事実に横たわっていることに皆気づくようになっている。割り箸は、捨てるしか使い道が残されていない廃材や低質材を用いたもので、南米からの輸入も低質低木であり、熱帯雨林の保護とはほとんど関係せず、むしろ資源の有効利用という側面を担っていることがわかる。このように日本人特有の感情におされ、実は論争にも成り得ないことが論争として(半分以上は感情論として)繰り広げられることが多い。

 企業でプロジェクトチームを立ち上げ、市場開拓、新製品開発など、企業の命運をかけて今後の方向性などを決めるようなことがある。調達、研究、製造、ロジスティック、営業等の各部門から選抜された中堅社員でプロジェクトは構成される。例えばテーマは経営トップから「高齢化社会の到来に向けて新しいサービスの創出」であったとする。1回目はフリートーキングで、それぞれが高齢化に向けての問題点と企業がそれに向けて貢献できる可能性などイメージを語り合う。会の終わりにリーダーから本日意見を言った者は、次回までにデータ等を揃え、事業化の可能性などまとめておくように指示する。ところが2回目の会合では、日々の業務が手一杯で、レポートの提出はわずかで、人口統計など既存の資料でごまかす者が大半であった。議論は、ロマン派と現実派に分かれ白熱するがまとまらない。3回目はそれぞれの派がデータを持ち寄り討論を行うが何一つ具体的なことは決まらない。トップから指示された期限は刻々と近づいてくる・・・・

 前もって十分な準備を行っていないと、どのようなプロジェクトも上記のような変遷をたどる。筆者は、第1回目から問題点、争点をロジックツリーにして、要素ごとに分解していき、分解した後のそれぞれの論点を分析する担当者を1回目で決め、2回目以降は、スケジュールに従い作業の進行度のチェックや新しい論点の抽出、評価を行うべきだとしている。


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経営参謀が明かす論理思考と発想の技術(知力アップ講座)

後 正武著 プレジデント社 1998/12

目次
第1章 論理とは何か?
第2章 論理の原則
第3章 論理の演習
第4章 イッシューを考える
第5章 ゆたかな発想を求めて
第6章 論理と発想についての断章

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