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5月21日~5月25日(毎日スキルアップ通信で紹介)


   成功への熱い思いを君に
                    小尾敏夫、熊谷正寿 プロデュース 
                     かんき出版(2007.5.1)
  

 去年の4月から7月にかけ、早稲田大学で行われた公開講座の講演録が本になった。
 講師の陣容はベンチャー企業を築き上げた時代の先端を行くアントレプレナーである。 まともにセミナーを受ければ何十万も受講料がかかるぐらいの蒼々たる講師陣である。
折口雅博  1961生 グッドウィル・グループ株式会社代表取締役
南場智子  1962生 株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役
平野岳史  1961生 株式会社フルキャスト代表取締役
堀主知ロバート 1965生 サイバードグループCEO
荒川亨   1959生 株式会社ACCESS代表取締役
近藤太香巳 1967生 株式会社ネクシィーズ代表取締役
西山知義  1987生 牛角、am/pm、成城石井を経営
藤田晋  1973生 サイバーエージェントCEO
宇野康秀  1963生 USEN代表取締役
中田宏  1964生 横浜市長
熊谷正寿  1963生 株式会社ボイスメディア代表取締役

 講座名は「勝ち組ベンチャー企業の条件」。
 ベンチャー起業に関心ある若い受講生達が熱心に講義を聴いたことであろう。

 よい大学を出て、有名企業に就職することだけが勝ち組の条件ではない。
 今の世の中、安定した大会社というのはもう存在しないのかもしれない。
 講師の中の一人、折口雅博氏が11年前に造った会社「グッドウィル」は売り上げゼロから始まった会社である。それが今では売り上げ1800億円、世界でGoogleに次いで2番目に早く成長した会社だ。

 折口雅博氏ををはじめ、本講座の講師陣達が経営するベンチャー企業はこれまで運だけで勝ち残ったわけではない。
 公開講座をプロデュースした早稲田大学院助教授は彼らの講義から得られた共通のキーワードを取り出してみたら次のとおりであったという。

「夢」
「志」
「素直」
「共有」
「人格」
「忍耐力」
「顧客満足」



 グッドウィル社長折口雅博氏は、成功の原因をつぎのように語る。
 起業家にはイチローやタイガーウッズのような特別の才能が必要なわけではない。
 起業家は言い方は変だけど、それぞれスペシャリストにやってもらえばいい。
 いかに「人を活かすか」、これができれば成功する。

 人をコントロールするのではなく、場を与え、目標設定をさせ、それぞれの特性に合わせて絶対向上するという気持ちを起こさせるマネージメントが必要だ。

 グッドウィルは新宿の雑居ビルで5人の従業員とともに創業した。
 まだ、年収800万にも満たない頃、折口氏は社員にこう宣言した。
「5年以内に株式公開。10年以内に売り上げ1000億を達成する」

 トップになる者は夢を語らなければならない。
 それをみんなで共有化しなければならない。

 すごく強い思いの人が成功する。
 理念を定め、紙に書き、壁に貼り、毎日唱和する。
 意識で思うより、無意識の部分で思った方が強い。
 いかに潜在意識を活用するかで、その人の人生が成功するかどうか決まる。



 株式会社ディー・エヌ・エー(代表南場智子)は、2005年12月に上場を果たした。
 そのときに寄せられたメッセージのうち、数件は次のようなものだった。

「よく途中で自殺しなかったね」

 赤字を出すのは本当にきつい。
「ビッダーズ」は長い準備期間をかけオークサイトとして1999年に立ち上がったが、その半年前にヤフーオークションが始まったことはまったく誤算であった。

 機能的にもヤフーオークションに完全に劣っている。
 急ピッチで強いエンジニアを集め、開発を進め、1年をかけ出品機能も課金機能もあるオークションを完成させた。ところが、ヤフーオークションはずっと先に行ってしまっていた。とてもかなわない。ヤフーオークションにすがってバナー広告を出した。競合するので最初はいい顔されなかったが何とか出してもらった。全然効果はなかった。

 ヤフーオークションで積み上げた出品者の評価をビッダーズに持ってくることができなかったからだ。「評価は誰の者か」と論陣を張った。とにかくがんばった。

 オークションサイトだけでなく、ショッピングサービスも始めた。
「ビッダーズはヤフーオークションと楽天ショッピングを合わせたようなサイトにまで育った。さらに開発を続け「モバオク」でやっとナンバー1のステージに立つことができた。

「よく途中で自殺しなかったね」

「ほんとうにキツイですね。トンネルに入ってまったく灯りが見えない。
 でも、灯りがあることを1回たりとも疑ったことはなかった。
 みえないけど、あるにちがいないと思って真っ直ぐ歩いてきた」



 近藤太香巳氏(1967生 株式会社ネクシィーズ代表取締役)は、19歳の時に手持ち資金50万円で創業。おまえみたいな若造に何ができると言われた。いじけてもしょうがない。超一流の仕事をしようと考え、これまでやってきた。

 超一流の仕事とは、目の前にある仕事を想像と工夫を凝らしてやることだ。
 たとえば資料作成を頼まれたときにグラフを添えた方がよいのではとか、色を付けた方が見やすいのではとプラスアルファの考えができることだ。目の前に超一流は転がっている。

 近藤氏は高校を2回も辞めている。がんばることが嫌いでいい加減だった。
 新車を買って六甲山にドライブに行った帰りに事故でせっかく買った新車を廃車にしてしまった。買って17時間後のことだった。手元に残ったのは220万円の借金のみ。借金を返して新しい車を買うために、きつい販売のアルバイトをする。当時黒いダイヤル電話で十分と言われていた時代に20万円以上もする高価なプッシュホン電話を訪問販売する仕事だ。給料は完全歩合制。契約を取れなければ収入はゼロ。100軒回って99軒は帰れコール。一緒に入った同期生は50人いたが一ヶ月後に48人が辞めた。

 帰れコールぐらいで暗い顔をしていたら、絶対に契約は取れない。
 左ポケットにほしい車の写真を入れ、どんなにつらくても「笑え!」と言い聞かせ、「ごめんください!」と声を出した。落ちるところまで落ちたので、ほんのすこし勇気があった。

 人間、「できなかったらどうしよう」と思うよりも「できたらどんなにすごいだろう」と思った方がわくわくする。



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