|
潜在力開発メソッド
齋藤孝 著( 1,200円)
2004.9.16発行 マガジンハウス
|
|
|
これまで、スポーツに打ち込んできた人はスポーツの、ピアノを習ってきた人にはピアノの知識と技が、本人が思っている以上の大きな潜在力として、蓄積されているはずだ。本書は、たとえば、スポーツの練習法を読書術に適用するというように、個人が持っている潜在能力を勉強、仕事、スポーツ、語学のスキルアップに活かすためには、どのように取り組めば効果を上げられるか解説した本だ。
スポーツの練習では、初めは基本形を身につけ、少しずつステップアップする。読書にこれを応用するとすると、本を最初から最後まで読み通すようなことはしないで、自分が面白いと感じるところだけとか、読みやすいところだけを読んで、読了したことにする。そして次の本に移り、また、同じように一部だけを読む。そうすると、読み終えた本が増えていくので、だんだん自信がついてくる。だんだん、わかってきたところで、最初の本を読み返して、1回目よりも深く読むようにする。
スポーツは、何度も基本練習を繰り返す。練習を止めないことで、質的な変化が本人も気がつかないうち本人の中で起きることがある。これを音楽鑑賞に応用すれば、同じ名曲を何度も聴くと、次第に指揮者の違いまで聴き分けることができるようになるという。スポーツでも音楽でも反復練習を繰り返すことで、感覚を鋭敏にさせることができる。ワインを何回も飲んでいると、産地はもとより、醸造された年代まで、細かく飲み分けることだってできるようになる。しかし、ワインの微妙な味の違いは、なかなか記憶に残すことはできないそうである。そのため、ソムリエの田崎真也氏は、ワインの味を、できるだけ言語化してデータベースに残すそうだ。微妙な味わいを言語に表すことは簡単ではない。齋藤氏によると、言語感覚は、朗読で養うことができるそうだ。
|
|
|
 |
|
|
試験では、これまで習ったことを忠実に思い出して、記憶の中から答 えを見つけたり、公式を当てはめたりすればよかった。仕事となると、
記憶や公式だけでは対応できなくなる。答えが一つしかなかった学校の 試験と違って、仕事では、問題そのものの発見から始めなければならな
いし、解答もたくさんあり、その中からリスクやリターンを判断しなが ら一つだけ選ばなければならない。
齋藤氏は、仕事で必要なのは、知識だけでなく「暗黙知」すなわち潜 在力であるとする。この本は、潜在力を引き出すための技法の解説を試
みたものだ。 齋藤氏は、東洋の身体技法である「呼吸法」が、潜在力をパワーアッ
プするのに役に立つとしている。呼吸法は身体の文法とも呼ばれ、潜在 力を引き出すための強力なツールになると主張する。呼吸法については、
当メルマガでも、7月6日号で紹介したことがあるので、以下、参考ま でに再掲する。
━━ここから━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(毎日スキルアップ通信7月6日号抜粋)−集中力を増すテクニック−
集中力と呼吸法は切っても切れない縁がある。 遙か2500年も前に生きた釈迦は悟りを得るために、あ
らゆる肉体的、精神的苦行を試したがうまくいかず、最後に 釈迦が編み出したものが「丹田式呼吸法」と呼ばれるもので
ある。 お腹のへその下に笑うと力がいるところがあり、それを丹 田という。その丹田に意識を集中して、口を少しあけ、ゆっ
くりと息を吐き出す。丹田をへこませ、これ以上は息が吐け ないというところまでゆっくり吐き出す。吐き終わったら、
丹田の力をすっと抜き、自然に鼻から空気が入っていくのに まかせる。 最近の脳神経科学の研究により、この丹田式呼吸法が精神
医学にも応用できることがわかり、うつ病、燃え尽き症候群、 統合失調症などの治療にも応用されている。
私は大勢の前で司会をしたり、発表をしなければならない ときは、「丹田式呼吸法」を必ず本番前に実践して、緊張を
静めることにしている。 この呼吸法は速読においても有効である。息をできるだけ
ゆっくり吐く。息を吐いている時間に速読を行えば、余計な ことは考えず、読むことに精神が集中できる。
息を吸うときは文字を追う視線の動きを止める。なぜなら、 息を吸うときは身体が硬くなり、緊張しやすくなるからだ。
ハッとしたとき息を飲み込み、身体が硬くなるが、息を吸う 行為と緊張は密接な関係がある。
野球でバットをスイングするとき、ゴルフでクラブを振り おろすとき、ヨガで身体に力を入れるとき、いずれも口から
ゆっくりと息を吐き出しながら行うことでよい結果を出すこ とができる。 しかし、テクニックをいくら覚えたところで、仕事に疲れ
た後、書斎の机にすわるのはしんどいものである。強い意志 が前提になければ、自宅で一人机に向かうことはないであろ
う。明日以降、強い意志の力について考えてみたい。
━━ここまで━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
勉強にしろ、スポーツにしろ、これ以上すれば壊れてしまうかもしれ
ないと思うくらい自分を追い込んで猛特訓をしてみてほしい。驚くほど
確実にパワーを身につけることができるはずだ。たとえば、締め切りを
早めに設定し、自分自身をタコメーターでいえばレッドゾーンにまで追
い込む。そうすることで潜在能力が発揮される、予想以上の能力を発揮
するという。勉強や練習に使った時間が問題ではなく、こなした量が問
題である。集中して1時間当たりにどれくらいの量をこなすことができ
るのか、それが仕事ができるか否かの判断基準になる。
腕のいい料理人は、注文に応じて何種類もの料理を同時につくる。資
格試験に受かりたいのなら、1日○○ページなどと、計画的にこなすの
ではなく、寝ても覚めても問題集を離さずに解き続けるぐらい集中して
取り組めば、驚くほど潜在能力を活用することができるだろう。すき間
時間を見つけては、能力開発に全力で取り組むことが大事である。
仕事を進めるとき、アイデアを出やすくするためには、違うタイプの
人間とアイデアのすりあわせをするとよい。違ったセンスがぶつかり合
うと、凝り固まった考え方が化学変化を起こして、新しいアイデアが生
まれることがある。
歩きながら物事を考えると着想を得やすい。歩きながら英語を読んで
も英語力をつけることができる。リズミカルな運動は、脳内のセロトニ
ンを活性化する。セロトニンは、気持ちを落ち着かせ、集中力を高める
ことに役立つ。座禅もセロトニンは活性化させる有効な手段だ。ビジネ
スマンは会社内で座禅を組むわけにはいかないので、気分が乗らないと
きは、外を歩くにかぎる。戻ってくるまでにアイデアが湧く確率は高い。
ただし途中で思いついたとき書き留めるためのメモ帳は忘れないように
したほうがいい。
最近の日本人は対人関係能力が低下している。能力を持っていても、
人前で何も言えなくなるのは「場の感知力」がないからだ。人が集まっ
たときに、周囲の人に気をつかいながら上手に話を進められる人は、
「場の感知力」を備えた人であり、仕事をスムーズにこなすことができ
る能力を有している。「場の感知力」を持ったもの同士は、会議の中で
お互いに気づき、あとで2人だけになったとき、会議の批判を行ったり
するそうだ。
場の感知力を上げるコツは、話し合いの場に参加している者すべてに
意識を向け、より細かいところまで意識をめぐらせる練習をつむことが
大事で、対人関係能力を向上するための最も効果的な練習法であるらし
い。また、日頃から同僚などに対して会話も怠らないようにすれば、発
言する力をつけることができる。
|
|
|
購入はこちらから |
|
|
|
|
|
|
|
|
新刊メニューへ |
|