|
「売上が10倍伸びる説得力トレーニング」 1,300円
ジェフ・バーチ 片山奈緒美訳 日経印刷(株)
|
|
|
「説得」は、相手に喜びを与える者でなければならない。気持ちよくモノを買わせてこそ真の説得力だと思うという著者による、力強いマーケティング強化トレーニングを解説した本だ。
最近、勤務中に株やマンションに融資しませんかという販促の電話がよくかかってくるようになった。しかし、若い者がマニュアルをどきどきしながら読んでいる感じの者、電話を切らせまいと強引に話し続ける者、泣き落としのかかる者など様々である。なかには、「先輩、懐かしいです!覚えてらっしゃいますか!私ですよ。学年は下でしたけど・・・」いわゆるオレオレ詐欺である。どれも、電話に出て気持ちのいいものではない。受ける方が面白くないのだから、上司の命令でかける方は、もっとしんどいはずだ。そういうしんどい営業を楽しくやりがいのあるものに変えるのが本書かも知れない。
「営業で勝つ」といったセミナーを筆者は否定する。そんなものは強盗と変わりないと手厳しい。顧客に勝っても二度と来てくれないだろう。それより自分の仕事に期待がもてる方法がある。それは「説得術」である。説得術は柔道と似ている。攻撃をしてくる相手の力を利用して、逆に投げ返す息づかいが大事だという。 |
|
|
 |
|
|
「説得」は、相手の姿勢や信念を変えさせる芸術である。相手との合意の前に立ちはだかる抵抗や誤解を正確に打ち砕く算段を立てなければならない。そのために、目的を明確にする必要がある。営業の仕事に会社回りというのがある。特に新入社員にはつらい仕事だが、何か入り用のものがないか聞いてまわるのはナンセンスだ。顧客は何かほしければ、いつ、くるかわからないセールスマンなど待たず、注文をとっているはずだ。営業に行くからには、何のために行くのか、目的をはっきりすべきだ。顧客は自分がほしいものが何かわかっていない。だから、顧客に何がほしいのかわからせるのがセールスマンの仕事だ。押し売りとセールスの違いは何だろう。それは、顧客に損をしたと思わせるか、得をしたと思わせるかの違いだ。その違いを生むのが説得術だ。ここで、大切なのは、セールスをする者が自社製品を信頼していなければならないということだ。もし、心の片隅にでも自分が売る商品は顧客が必要とするものでないという考えがあったら、いいセールスはできない。
顧客が何を欲しがっているのか考えるのも大事だが、顧客のリスクを考えるのも新しい顧客を獲得するために必要だ。例えば、ある日、商人がやってきて、あなたにこう言ったとする。
「1000万円分のボールペンを100万円で仕入れてほしい。後は、それを売るなり棄てるなりあなたの勝手だ」
あなたは、そんなわけのわからない儲け話に警戒するだろう。そして契約しないに違いない。
次に別の商人がやってきた。
「1000万円分のボールペンを預かってほしい。それを売れば2割がたは、あなたの収入になる」
と、言われたら必ず契約するだろう。最初の話は900万円の利益を上げるはずだったのに、それを見逃し後者の200万円の話に乗ったのである。顧客は利益以上にリスクを避けたがっているのである。つまり、顧客のリスクを減らしてあげることを考えるのも「説得力」の技なのである。
商品を売るとき、一番競争力を生み出すのは、価格を低くすることと思いがちだが、実は、価格を下げても、悪かろう安かろうと顧客に思いこませ、逆にリスクを感じさせることになったりする。それよりも、いかに顧客からリスクを取り除いてあげるか考えなければならない。
苦情に対して、やってはいけない3つの対処法がある。
1苦情が正統でないとき、切り捨てるという対処法
2苦情にはまめに対処するが、自分たちは絶対誤っていないとする態度
3商品やサービスを向上させ、完璧な店づくりをすること
自分が商品に対して完璧な自信があっても、顧客がそう思わなければ、完璧どころか、欠陥商品と認識しなければならない。苦情は誰でも普通は聞きたくない。しかし、経営においては、苦情は消費品やサービスの内容を改善し、充実する上で、貴重な情報サービスといえるのである。また、逆に苦情がでなかった場合よりも、苦情が出た場合の方が、顧客の獲得につながることもあるそうだ。ある調査によると、次のような結果がでている。
再び顧客が訪れて商品を買ってくれる率
○買った商品に何も問題がなかった場合・・・・・・・・・・・40%
○買った商品に問題があり、対応も不誠実と感じた場合・・・・・5%
○買った商品に問題があったが、その後の対応が良かった場合・80%
これは本とは関係なく、余談な私自身の経験であるが、娘がまだ6歳
ぐらいのときの話だ。ファミリーレストランで娘と2人で食事をしたあ
と、伝票を持ってレジで支払いを済ませようとしたら、ウエイトレスか
ら、「別々のお支払いですか?それともご一緒ですか?」と尋ねられた。
私は、思わず娘の顔を見た。娘は困ったように、もじもじしていた。こ
れなどマニュアルの害といえるだろう。また、うそか本当か知らないが、
マクドナルドのカウンターで、「ハンバーガー100個」と注文すれば、
店員から「こちらでお食べになりますか。それともお持ち帰りですか」
と尋ねられるという噂話もある。
さて、本題に移る。マニュアルどおりのセールストークは役に立たな
いと本書でも説明している。マニュアルにどうしてそのようなことが書
かれているのかその背景まで目配りができるようにならないと、マニュ
アルに頼ったセールストークは、かえって害を及ぼすことがあると書か
れている。
会社で接客するときは、掃除係も含め、全体で顧客に接しなければな
らない。苦情の電話がかかったとき、苦情の内容を詳しく聞き出し、そ
れは自分の部署ではないと、うれしそうに他の部署にたらい回しにする
など、もってのほかで、最初に苦情の電話を受けた人が、最後までつき
合うくらいの横の連携が取れていることが重要である。
人間は誰でも失敗する。その間違いを正すときの態度が大事だ。性格
上その間違いを正すと相手を否認してしまうと恐れを感じる人は、何も
できないことになる。しかし、間違いを正すとき、相手の自尊心を傷つ
けずに指導できるようになると、あなたは「正しさ」のメジャーと呼ば
れるようになり、あなたの「正しさ」はさらに評価され、強化されてい
くはずである。
人が集まる場所などで、顧客と話すとき、周りの雑音をあまり気にせず、顧客が話している内容に集中して耳を傾けなければならない。そこで大事なのは、集中力と、あなた自身の目的である。あまり、顧客の話にのめり込みすぎて、本来の目的を忘れてしまえば何にもならないし、かといって、自分の言いたいことを言うために、相手の話をろくすっぽ聞かずに、口をはさんでしまうのもいけない。それから、交渉においては、根気よくお互いの立場を話すことで、意外な解決を生み出すことだってある。初めはお互いに感情と感情がぶつかり合っていても、そこで冷静なコミュニケーションを図ることで、お互いの主張する利害を上手に調整することができる。
中東戦争において、エジプトがイスラエルに戦争をしかけたが、逆にイスラエルにエジプトの領土を取られてしまう事態が発生したことがある。このときアラブ諸国の仲裁は役に立たなかったが、今とは違い、当時のアメリカの交渉術は冴えていた。アメリカは冷静にお互いの主張する利害を分析した。その結果、エジプトは土地を奪われたことに恥辱を味わっており、イスラエルは住居地区の目と鼻の先にある国境地帯からエジプトの戦車の砲台が住居地区に向けられていたことの脅威が去ったことについて一番満足していたことがわかった。アメリカの交渉術によって、国境は名義上エジプトに返すことになった。エジプトの名誉を守ることができた。ただし、非武装地域に指定し、戦車は入れなくしてイスラエルの安全も確保したわけである。このように、交渉においては、金額の大小に執着するなど、争点を絞りすぎ、行き詰まりをみせるようなやり方は好ましくなく、いろいろな代案を用意して、できるだけwin−winの関係を導き出すように知恵を絞ることが重要である。
|
|
|
購入はこちらから |
|
|
売上が10倍伸びる〈説得力〉トレーニング
ジェフ・バーチ (著)著
価格: ¥1,365 (税込)
|
|
|
|
|
|
新刊メニューへ |
|