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この本を書店で最初に目をしたとき、地頭力を「じとうりょく」と読むのかと思っていた。鎌倉時代や室町時代に活動した地方の行政官であり地頭のように、地に着いた政策実行能力を鍛えよという意味なのかなと思っていたが違っていた。
地頭は「じあたま」と読み、コンサルティング業界や人事採用部門の世界では一般的に使われる言葉であるそうだ。借り物の知識とかではなくて、元からの頭の良さというような意味で使われるらしい。
近頃は、借り物の知識ばかりだ。
インターネットで情報の海から何でも検索できる。
情報が早いことは自慢にならない。
流行語大賞にノミネートされなかったが、「コピペ思考」という言葉も生まれた。
あまり考えなくても、あちこちからコピーしてつなげてみると、それらしい文章になるので、あちこちのインターネットのサイトからコピーしてつなげてレポートする研究者も出ているそうである。
最近では、キーワードを入力すれば、あちこちのサイトやブログから文章を集め適当なレポートをつくって自動的にブログに掲載してくれるというソフトまで出回っている。
いよいよ人間は考えなくてもよくなっている。
思考停止の危機だ。
しかし、これからの時代、生き残れるのは「自分の頭で考えることができる人」だ。
この考える力のベースとなるのが「地頭(じあたま)力」だ。
筆者は、地頭力は生まれつきではなく、鍛えるものだと説く。
地頭力は「フェルミ推定」というツールで鍛えることができるのだそうだ。
たとえば、日本国内でガソリンスタンドは何軒あるかを推定するとに使うツールだ。
インターネットで検索してもすぐにはわからない。
フェルミ推定は「結論から」「全体から」「単純に」の3つを思考の核にしなければならない。
インターネット中毒にかかっている人は、それでもインターネットで検索しようとするだろう。実際、この中毒は根が深い。自らを羽交い締めにしてでも、この悪しき習慣から目覚めさせなければならない。
頭の良さには三種類ある。
第一は、記憶力がよいということ。
第二は、対人感性が高く、機転が利き、気が回るということ
そして、第三は、数学の問題やパズルを解くのことが得意な地頭力(じあたまりょく)である。
三つの能力はビジネスではどれも必要な能力だ。
特に三番目の地頭力は、前例がないような新たな問題が発生したときに、その威力を発揮する。
地頭力は応用が利く。
地頭力の強い人は、未知の世界であっても、業務知識を人よりも早く習得し、高いパフォーマンスを築くことができるからだ。
地頭力は三つの思考力で成り立っている。
一つは「結論から考える力(仮説思考力)」
一つは「全体から考える力(フレームワーク思考力)」
一つは「単純に考える力(抽象化思考力)」である。
地頭力の3要素
・結論から考える
・全体から考える
・単純に考える
まさに経営者に必要な資質と合致している。
検討や分析よりも先に結論がほしいはずだ。
経営全般を見渡せなければいけない。
問題を複雑化して解決を遅らせるわけにはいかない。
地頭力は毎日の習慣で身につけることができる。
習慣づけこそ最大の威力となる。
現代を生き抜くために必要な力は、特定の知識に依存することなく、膨大な情報から「自分の頭で考え抜いて」新しい知識を生み出す力、すなわち「地頭力」である。
ビル・ゲイツの面接試験で有名な設問が「マンホールのふたはなぜ丸い?」である。
これは知識を問うているのではない。解答のない質問に対して、いかに考え、どう答えるかが問われている。こういう場合に「地頭力」が必要となる。
解答のない質問を解くため、解答者がいろいろな情報を集め、自身で料理して、オリジナルの解答を導き出す。これをフェルミ推定と呼んでいる。
フェルミ推定には、地頭力が求められる。
たとえば、日本に蟻は何匹いるかとか、日本の道路レールの総延長はどれくらいかというような曖昧模糊な問題に対して、フェルミ推定を行うとしよう。
情報が少なくても結果を出さないといけない。
ということは、情報を積み上げて結論を出すというような演繹的な手法は使えない。
結論から考えたり、仮説を立てることから始めないと手がつけられないはずだ。
地頭力は「結論から」「全体から」「単純に」の3つの思考法から成り立つ。
【結論から】
フェルミ推定で仮説思考力を鍛えるためにはポイントが3つある。
・少ない情報から仮説を構築する姿勢
・前提条件を設定して先に進む力
・時間を設定してとにかく結論を出す姿勢
【全体から】
課題を高所から俯瞰するようにとらえ、最適の切り口でこれを切断し、分析する力も必要だ。たとえば、日本国内の電柱の数を推測するとき、切り方によっては、「単位面積あたりの本数から計算する」という方法もあるだろうし、「電力、通信需要に換算して本数を計算する」という方法もあるはずだ。
【単純に】
一見つかみどころがない事象を単純化する能力も必要だ。
単純化して概算することができるようにならないと、国内の電柱の数などはじき出せるわけがない。
フェルミ推定に求められるのは問題解決に向けての好奇心である。
当惑するのではなく、目を輝かせて乗ってくるような気持ちがほしいところだ。
芸能界で生き残るためには人と同じことをやっていてはだめだ。
島田紳助は、島田洋七の弟弟子の時代、洋七の漫才を徹底的に分析するため、ノートに洋七のネタをぎっしり書き込んだ。
それは、洋七の物まねをするためではない。お笑いの構造を明らかにしたかったからだ。
しばらくは芽が出なかったが、竜介と組んで、リーゼントにおそろいのつなぎを着た「ツッパリ漫才」を売りにしたところ予想以上にウケがよかった。
紳助には勝算があった。
ヤンチャだけれど、どこかかわいげのある自分たちはキャラ的に売れると思った。
紳助のノートにはネタばかりが書き込まれているのではない。
「知性」、「ファッション性」、「お笑い」といった項目を軸に、縦と横にマトリックス表をつくり、活躍しているお笑いタレントのポジション・マップをつくり、自分たちの戦いの場を探していたのだ。
数多くの日本人アーティストがアメリカ進出を試みた。
でも、成功したとは言い難い。
ニューヨークで1回ライブしただけで「米国デビュー」としていた。
プロモーションに大金をつぎ込み、マスメディアを中心に宣伝した。
それでも、成功しなかった。
ところが、それと全く逆を行く全米での地道なプロモーション活動で成功を勝ち取った日本人アーティストがいる。
パフィーである。
ソニー・ミュージックエンタテインメントのゼネラルマネージャー目黒敦さんは、さまざまな日本人アーティストの曲をアメリカ人に聴かせ好みを調べてみた。
その結果、日本の曲調はアメリカ人に合わないことがわかってきた。
そのようななか、パフィーの曲に対する反応だけはよかった。
そこからパフィーの米国でのプロモーション活動が始まる。
全米14都市をバスで大移動する過酷で地道な活動である。
ライブのPRは地元のミニコミ誌などを使った。
日本では100万枚以上のセールスを記録したパフィーには、これまで大枚をはたいて失敗した日本人アーティストと同じような憂き目にはさせたくなかった。
その甲斐あって、偶然ラジオから流れてきたパフィーの曲を「カートゥーン・ネットワーク」の重役が耳にしたことをきっかけにアニメの主題歌を歌わせたり、パフィーを主役にしたアニメが制作されるまでに至った。
米国に「カワイイ」という概念はなかったが、パフィーによって英単語"kawaii"ができたという。
パフィーの成功には次のような原因が考えられる。
・お金に糸目をかけないこれまでの日本的プロモーションをやめたこと
・日本人なのにアメリカ人のように歌う日本人アーティストがウケないことを肝に銘じたこと
・日本らしさを堂々と出して音楽活動を継続したこと
パフィーの米国におけるライブステージは日本のそれとほとんど同じ、楽曲も日本語のまま、アメリカ人に迎合する姿勢は皆無であり、それがアメリカ人にはかっこよく映ったと考えられる。
藤井隆は礼儀正しく、几帳面な性格で知られる。
ワイドショーの司会もこなし、幅広い層に支持されている。
しかし、藤井はそもそもお笑い芸人である。
彼の本来のよさは、少しアクの強い芸風、明るく回転のよい話術にあったわけだ。
ワイドショーのイメージが広がりすぎ、本来の自分にもどれなくなった藤井は、「マシュー南」という全く違う人間を演じることにした。
マシュー南は日本人の父(チェリスト)とイギリス人の母(伯爵令嬢)の駆け落ち先であるニューヨークで生まれた・・・というように役づくりを行っていった。
マシュー南なら、好青年藤井隆では言いづらいこともズバズバいえる。
この結果、マシュー南の人気も高くなり、ハリウッド映画に出演、プロ野球日本シリーズ第1戦の始球式で投球するなど、大活躍だ。
トヨタは、安くて壊れないというイメージから脱却するため、米国では高級車を「トヨタ」ではなく「レクサス」として販売している。
このように、ブランドを築くことで、従来の顧客を失うことなく、新たな市場で顧客を獲得することができる。
以前、仕えた上司で、いつでもすべてのメンバーの顔と名前が一致する特技を持っている人がいた。モーニング娘はどんなに売れていようと、頻繁にメンバーが入れ替わることで有名だ。知名度や人気の高いメンバーを惜しげもなく卒業させる。
それが、話題を集め、息の長いアイドルグループとして残ることに成功している。
また、グループ内ユニットとして「タンポポ」「プッチモニ」「ミニモニ」などの活動も活発だ。歌唱力を活かすためユニットを組み、そこでメンバーの個性を十分高めた後、またモーニング娘に還元するというような方法がとられている。
ポートフォリオ戦略とは、例えば販売する商品、あるいは、保有する有価証券を選ぶとき、「安定して収益を稼ぐもの」「リスクはあるが収益率が高いもの」「今はほとんど稼がないけど将来性があるもの」などを組み合わせ、安定収益を確保しながらも、高い収益も狙おうというものである。
「元気いっぱいの明るい人」「おしとやかな人」「急成長している人」「安定した人気のある人」「背の小さい人」というように、いろいろなメンバーで構成されるモーニング娘の活動も一種のポートフォリオ戦略といえるのかもしれない。
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